宅建士のまなざしから

宅建士のまなざしから──京都で“空き家”と向き合うということ

「宅建士って、結局何ができるの?」

社会人になってから何度か、そんな声を耳にするようになりました。特に30代半ばを過ぎたあたりから、「このままの仕事でいいんだろうか」とか、「資格って取っておくべき?」という話題が身の回りでもよく出ます。店舗設計を生業にしている私自身、実は30代で宅建士資格を取りました。簡単じゃなかったです。毎朝5時に起きて参考書を開き、昼休みに過去問、夜はカフェで一問一答。あの勉強漬けの数ヶ月がなければ、今の仕事の深さには出会えていなかったと思います。

空き家 宅建士──現場の悩みを超えていく力

京都で店舗デザインの仕事をしていると、避けて通れないのが空き家の問題です。依頼の多くは、古い町家を使いたいというもので、「この物件、飲食に使えるかな?」「オーナーと話がしたいけど、不動産屋が間に入ってくれない」なんてことが日常茶飯事。そんなとき、宅建士の資格があることで、物件の権利関係や用途地域の読み解き、オーナーへのアプローチなど、設計以外の部分にも自信を持って関われるようになりました。

あるとき、知人が所有していた築70年の長屋について相談を受けました。放っておけば老朽化が進むし、売るのも気が進まない。でも何かに活かせないか? という悩みでした。

そこで私は、空き家の現地調査を行い、必要な耐震補強の見積もりを立て、用途変更の可能性を含めた提案書を作成。結果的に、その物件は小規模ギャラリーとして再生され、地域住民にとっても新しい場として機能しはじめました。

こういうとき、設計だけでは届かない部分を、宅建士としての知見でカバーできたことが、大きなやりがいになっています。

不動産 提案 サービスの中で、宅建士の役割とは

最近では「不動産 提案 サービス」という言葉も少しずつ浸透してきました。従来のような「物件紹介」や「売買手続き」だけでなく、どんな使い方ができるのか、どうすれば価値を活かせるのかを考え、伝えていくプロとしての立ち位置が求められていると感じます。

とくに京都では、文化財保護や景観規制など独自のルールが多く、一見すると使いにくい物件でも、丁寧に読み解けば面白い可能性が広がっていることも少なくありません。

「空き家ってどうにもならないんでしょ?」という声に、
「いいえ、こうすれば活かせますよ」と返せるのが、宅建士の力。
そして、それをユーザー側と対等な立場で共有することができるのが、新しい不動産提案のスタイルだと思っています。

空き家 サポート 相談が「人をつなぐ」場になる

空き家の相談は、建物の問題だけでは終わりません。相続、税金、ご近所との関係、将来への不安……さまざまな「心配ごと」が一緒になって現れてきます。

akimiiのような空き家マッチングサービスでは、「空き家 サポート 相談」という形で、宅建士が提案を持って関わることができます。ただの業務ではなく、そこで人と人の対話が生まれるんです。

「その家には、どんな人が住んでいたんですか?」
「どんなふうに活かせたら嬉しいですか?」

宅建士の資格は、こうした会話を始めるための「扉」だと思っています。

宅建士になってよかったと思う瞬間

宅建士の試験は年々難しくなっていて、合格率も低い。でも、それだけに得られる信頼と責任も大きい。私の場合は、設計という分野に加えて「まちづくりに関われる視野」が広がったことが最大の財産です。

空き家を“誰かの困りごと”で終わらせず、“誰かの暮らしの入り口”に変えていく。そのために設計と不動産の橋渡しができる宅建士が、これからもっと必要になると思っています。

そして、京都のような歴史ある町でこそ、その力は試されるのではないでしょうか。

今、もしあなたが空き家に関わっていたり、店舗や拠点づくりを考えているなら。
宅建士という存在が、思っている以上に、頼れる味方になるかもしれません。

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