京都の空き家事情と制度解説

京都の空き家バンクと、暮らしの余白の見つけ方

2025年5月16日

参照:空家バンク|住まう|今日と明日|京都府公式移住・定住情報サイト:あなたのしたい暮らしを京都で実現しませんか?京都移住コンシェルジュがご案内します。 : https://www.kyoto-iju.jp/akiya_bank/

空き家バンク、という仕組みについて考えてみた

空き家バンクという言葉を、どこかで聞いたことがある人も多いかもしれない。
でも、その仕組みや使われ方について、しっかり知っている人は意外と少ない。
実際、私も最初は名前だけを知っている程度だった。

それがある日、仕事の相談で「空き家バンクに登録されている家を見てきたんです」と聞いたのがきっかけで、
ふと立ち止まって考えるようになった。

空き家バンクというのは、簡単に言えば、使われていない家を「貸したい」「売りたい」という人と、
その家に「住んでみたい」「使ってみたい」という人をつなぐための仕組み

民間の不動産屋さんではなかなか扱わないような築古の物件も、行政が窓口になって、情報を届けてくれている。

この“情報をつなぐ”ということが、実はすごく大事なんじゃないかと最近感じている。

京都という場所と、空き家という存在

京都と空き家。
一見、あまり結びつかないように思えるかもしれないけれど、実際には京都のまち中にも空き家はぽつぽつとある。

商店街の裏通りや、小さな川沿い、坂の途中の町家。
雨戸がずっと閉まっていたり、草が玄関先に伸び放題だったり。
そういう景色に出会うたび、「ここに人が戻ったら、また息づくのにな」と思うことがある。

私が仕事で関わってきた中でも、

「親の家を相続したけど、どうしたらいいのかわからない」
「空き家を活用したいけど、どこに相談していいのか見当もつかない」


という声をたくさん聞いてきた。

そうしたとき、空き家バンクの存在が、次の選択肢を照らしてくれることがある。

「誰かに住んでもらえるかもしれない」
「思い出の場所が、もう一度誰かの暮らしになるかもしれない」


そんなふうに思えるだけで、心の持ちようが変わってくる。

空き家バンクの、よいところ

空き家バンクには、いくつかのよい面があると思っている。

たとえば、

  • 古くても味わいのある家が見つかる
  • 地元の職員さんや、地域に詳しい方が案内してくれることがある
  • 相場よりも手の届きやすい価格で出ている場合もある

特に最近は、「完全移住」ではなく、「週末だけの二拠点生活」や「リモートワークで暮らし方を見直したい」という人が増えてきた。
そういった人たちにとって、空き家バンクは“暮らしの実験室”のような役割を果たしてくれる。

京都でも、京北や亀岡、美山などでは、そういう取り組みがゆるやかに、でも確実に広がっている。
その空気感が、とてもいいなと思う。

ただ、課題もある

もちろん、うまくいっていない部分もある。

物件の情報が古かったり、写真が少なかったり、問い合わせてもなかなか返事が来なかったり。
「あれ? これは本当に紹介したい物件なのかな?」と感じてしまうケースも、残念ながらある。

それから、建物の状態が思っていたよりも悪くて、修繕費がかさんでしまうということも少なくない。
やっぱり、物件そのものの情報だけでなく、
「その土地でどんなふうに暮らせるか」
「地域の人との関係はどうか」

といったことを、丁寧に伝えてくれる人がいるだけで、安心感はまったく違ってくる。

だからこそ、空き家バンクには“人の関わり”が欠かせないと思っている。

私が思う「空き家」の価値

空き家って、ただの「問題」ではなくて、
見方を変えると、“余白”なんじゃないかと思う。

それは、暮らしの中の、あるいは街の中の、ちょっと手つかずのスペース。
でも、そこに誰かのアイデアや手間が加わることで、新しい風が吹き込む。
放置された場所が、もう一度誰かの“日常”になる瞬間を、私は何度も見てきた。

それは、デザインや建築といった仕事をしているからこそ、余計にそう感じるのかもしれないけれど、
空き家に関わるということは、「暮らし方をもう一度考え直すこと」そのもののような気がしている。

京都という土地は、そういう“余白”に気づける目を育ててくれる町だと思う。

空き家バンクを“使う”というより、“関わってみる”ということ

空き家バンクを使うというより、
まずは「関わってみる」という気持ちが大事なのかもしれない。

家を探している人も、空き家をどうしようか悩んでいる人も、
まずは一度、誰かと話してみるだけで、何かが動き出すことがある。

もし、どこかで空き家バンクという言葉を見かけたら、
その奥にある“誰かの暮らしの気配”を想像してみてほしい。

小さな余白から、思いもよらない未来がはじまることがある。
そんな一歩を、私たちakimiiもそっと後押しできたら、うれしいと思っている。

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