
京都で空き家を手放すかどうか、悩んでいる方へ。
最近、仕事で東山の古い空き家を訪ねる機会がありました。築年数はゆうに50年を超えていて、床も少し傾いでいる。でも、土間の香りや、木製の窓枠からこぼれる光を見ていたら、「この家、まだ使えるな」と思わされたんです。
その日からずっと考えていました。「京都 空き家 売却」「京都 空き家 相場」「京都 空き家 不動産会社」──こういう検索をしている方は、きっと僕と同じように、“次の暮らし方”を模索している人たちなんやろなと。
このコラムでは、そんな方々に向けて、2025年現在の京都市内における空き家の売却相場を、エリアごと・築年数ごとに分けてお伝えしながら、査定を受ける際の注意点や、信頼できる不動産会社の選び方についても、できるだけ実体験を交えながら書いてみようと思います。
京都市内の空き家売却相場をざっくり掴むには?
京都という町は、不動産の価格を一律で語れないところに奥深さがあります。
たとえば、左京区の下鴨周辺──静かな住宅街で、築40年の町家であっても、土地の価値だけで2,000万円を超えることもある。一方で、同じ左京区でも北白川の山沿いに入ると、築50年の戸建てが800万円でも動かないことも。
この違いは何かというと、単に“立地”や“アクセス”というだけでなく、“暮らしのイメージ”が描きやすいかどうか、ということが大きいように感じます。
2025年時点でのざっくりした傾向を、いくつか挙げておきます:
- 【中京区・東山区】
- 築40年以上でも、立地が良ければ3,000万円以上の査定が出ることも。
- 【左京区・北区】
- 駅近は高値傾向。築古でも土地に価値あり。
- バス便エリアは600〜1,200万円あたりが相場感。
- 【山科区・伏見区】
- リフォーム前提で1,000万円前後。築年数よりも「外観」と「陽当たり」で価格が動く。
もちろん、これらはあくまで目安です。
実際には「私道の権利関係」や「再建築不可」などの条件で、想像より価格が下がることもあるし、逆に近所に人気のカフェができて、相場が一気に上がることもある。まさに“不動産は一点もの”なんです。
だからこそ、ネットで調べた価格だけを鵜呑みにせず、自分の物件に合った「肌感」をつかむことが大切やと、日々実感しています。
査定額に差が出る要素とは?
さて、京都で空き家を売却しようと思ったとき、同じような築年数でも、思った以上に査定額に差が出ることがあります。今日はその“差がつく理由”について、現場でよく聞かれる話を交えながら、もう少し深く掘ってみたいと思います。
立地の違いが生む価格差
やっぱり一番大きいのは、どこにあるか。たとえば、北区と上京区では、同じ築40年の木造住宅でも価格に1.5倍以上の差がつくことが珍しくありません。さらに同じ区内でも、駅からの距離や前面道路の幅、周辺の環境によっても大きく変わります。
私の知り合いが持っていた西京区の空き家。「もう古いし売れないやろ」と言ってたのに、近くに大型スーパーができたことで一気に注目されて、思ってたよりずっと高く売れたという話もあります。
"地元をよく知る"という視点は、このとき本当に大きな意味を持ちます。査定の際には、その地域の動向や将来性も含めて見てもらえるかがカギになると思っています。
建物の状態で印象は大きく変わる
築年数だけで価格を判断するのは実はちょっともったいない話で、同じ築30年でも「ずっと空き家だった家」と「誰かが住みながら手入れしていた家」とでは、買い手の印象が全然違います。
見た目以上に影響があるのは、雨漏りやシロアリ、傾きなどの構造的な問題。これらがあると査定は一気に下がります。逆に「古いけど、手が入ってるな」と思われる物件は、リフォーム前提でも良い価格がつきやすいんです。
あと、案外見落としがちなんですが、庭の雑草やごみの処理など、第一印象もバカにできません。売却の前に少し掃除するだけで、ずいぶん印象が変わるものです。
京都ならではの“町並みとの調和”という価値
これは他の都市にはない京都特有の話かもしれません。景観条例などの制約がある一方で、「町並みに溶け込んでいる」ということ自体が価値になることもあるんです。
たとえば、
格子や土壁を残してリノベーションできる家は、観光向けの宿泊施設や、和の雰囲気を大切にする人にとって魅力的に映ります。
こういった視点での評価は、全国チェーンの不動産会社では見落とされがちで、京都に根ざした不動産会社だからこそ気づける“魅力”でもあります。
こうした“地元目線”を大切にしながら、売却のタイミングや見せ方を一緒に考えてくれる人と出会えるかどうか。それが、結果として査定額にしっかり表れてくる気がします。
最後は、「信頼できる不動産会社の選び方」について、一緒に考えてみましょう。
信頼できる不動産会社の選び方
あるとき、古い町家の売却を検討しているご夫婦から相談を受けたことがあります。「査定額は悪くなかったけど、どうにも担当者が機械的で…」という一言が印象に残っています。数字は正直。でも、その数字の奥にある想いや背景までくみ取ってくれるかどうかで、パートナーとしての信頼度はずいぶん違ってきます。
京都で空き家を売却する際、不動産会社選びは“最初の分かれ道”と言ってもいいくらい重要なポイントです。というのも、町の特性や地域性、景観条例、建築規制など、京都独自の要素が多いため、一般的な不動産会社の感覚では適切な判断ができないこともあります。
たとえば、同じ築50年の町家でも、祇園の一角にあるのか、洛西の住宅地にあるのかで、活用方法も買い手の層もまるで違ってくる。そんな土地勘や感覚をもって話せる担当者がいるかどうか、それがまず大きな分かれ目です。
私が相談を受けるとき、よく
「不動産会社のどこを見ればいいですか?」
と尋ねられます。ひとつの目安は、その会社が“空き家に特化した実績”をもっているかどうか。京都市の空き家バンクに登録していたり、地域に根ざした活動をしていたりする会社は、単なる売買仲介だけではない、丁寧な対応をしてくれることが多いです。
また、最初の問い合わせ時の対応も要チェックです。物件のことをじっくり聞いてくれるか、こちらの希望や背景に耳を傾けてくれるか。ときどき、「うちはこういう売り方しかしません」というスタンスの会社もありますが、それって逆に言えば、柔軟さに欠けるってことでもあるんですよね。
さらに、査定額の提示が極端に高い会社には注意が必要です。一見お得に見えても、売れ残るリスクが高まったり、のちのち値下げを迫られたりと、かえって損になることもある。実際の相場や過去の成約事例と照らし合わせて、根拠をもって説明してくれる会社を選びたいところです。
京都というまちで空き家を売るということは、単なる「不動産の取引」ではなく、「その家が持つ物語を、誰かに引き継ぐ」という営みに近いと思っています。だからこそ、信頼できる不動産会社は、“共感力のある仲介者”であってほしい。
もし、いま「どこに頼もうかな」と迷っているなら、実績も大切ですが、まずは「話していて安心できるかどうか」で判断してみるのもいいかもしれません。数字だけじゃ見えへん大切な部分、そこを一緒に見てくれる人と出会えたら、それがいちばんの近道なんやと思います。