京都の空き家事情と制度解説 京都の空き家物件とリアルな現場レポ

京都の空き家にかかる税金は?固定資産税・都市計画税の負担と軽減措置

2025年7月8日

梅雨が早く明けた京都で思ったこと

例年なら、祇園祭の巡行が終わる頃に梅雨が明ける。そんなふうに言われる京都の夏。今年はちょっと違った。6月27日には梅雨明けの発表。空がぐっと明るくなって、蝉の声が急に増えた気がした。なんや、もう夏かいな…と思う間もなく、アスファルトからの照り返しがじりじりと肌に刺さってくる。

そんな暑いある日、お客さんとの雑談で「空き家を持ってる親戚が、税金のこと何もわからへん言うててな」という話を耳にした。たしかに、空き家の活用はよく話題にのぼるけれど、その維持に関わるコスト、特に「税金」のことって、案外知られてないんかもしれん。

そこで今回は、京都で空き家を所有している人、これから相続するかもしれない人に向けて、「空き家にかかる税金」の基本と、その負担を減らすための制度について、わかりやすく整理してみたい。

固定資産税と都市計画税ってなに?

まず基本のきから。空き家に限らず、不動産を所有していると毎年かかってくる税金がある。それが「固定資産税」と「都市計画税」。この2つは、毎年1月1日時点で土地や建物を持っている人に課される、いわば“所有しているだけでかかる税金”。

  • 固定資産税:土地や家屋の評価額に応じて、市町村が課税。
  • 都市計画税:都市計画区域内の土地・建物にかかる、ややプラスアルファの税。

京都市でも、この2つはセットで納税通知書が届く。金額は物件の評価額や立地によって変わるけど、たとえば

50坪ほどの土地に築30年の木造住宅が建ってる場合、年間で10万円前後

になることもある。

この金額、「毎年かかる」と思うと、なかなかのインパクト。空き家を使っていなくても、持ってるだけで出ていくお金。だからこそ、しっかり理解しておく必要がある。

住宅用地特例ってなに?

でも、少し安心できるのが「住宅用地特例」という制度。これは、家が建っている土地については、固定資産税などの課税額を大きく軽減する仕組み。

主な内容:

  • 小規模住宅用地(200㎡以下):課税標準額が1/6に軽減される
  • 一般住宅用地(200㎡超):課税標準額が1/3に軽減される

つまり、

建物がちゃんとある空き家なら、土地にかかる税金はかなり割引されてる状態

ってこと。

ただし、これが適用されるには「住宅として使える状態」であることが条件

「放置しすぎてボロボロ」「倒壊の恐れがある」と判断されると、ある日突然この特例が適用されなくなって、税額が跳ね上がることも。だからこそ、空き家は「住んでなくても放置しない」が鉄則なんです。

「特定空き家」に指定されると、どうなる?

さて、先にお話しした「住宅用地特例」。これは家が“住宅としての体をなしている”からこそ適用されるものでした。でも、もしその家が放置されて老朽化し、倒壊や衛生面で問題があると判断されたらどうなるか?

京都市では、2015年の空家等対策特別措置法の施行以降、「特定空き家」に該当するかどうかの調査や指導が行われています。

特定空き家の4つの要件(以下のいずれかに該当)

  1. 倒壊等著しく保安上危険となるおそれがある状態
  2. 著しく衛生上有害となるおそれがある状態
  3. 著しく景観を損なっている状態
  4. 適切な管理が行われていないことにより、周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

このいずれかにあたると、「特定空き家」に指定され、住宅用地特例が解除されてしまう

結果、

土地の固定資産税が最大6倍になるケース

もあります。

たとえば、元々10万円だった固定資産税が、60万円近くに…という事態もあり得るわけです。これは、ちょっとしたショックやないですか?

京都市の「空き家税」構想にも要注意

さらに2024年、京都市が独自に導入した「空き家税(非居住住宅利活用促進税)」にも触れておかねばなりません。

この税は、居住実態のない住宅に対して課されるもので、京都市内では観光地周辺の空き家・別荘などが対象になり得ます。具体的な課税基準は物件の立地や使われていない期間などによって異なりますが、「空き家は放っておくと税金がどんどん重くなる時代」に入ってきてる、というのは間違いなさそうです。

京都市がこの制度で伝えたかったのは、「空き家を持つなら、なにか活かしてね」という強いメッセージ。放置されている家が街の景観や安全を損なうことを、市民全体で防ごうという取り組みですね。

管理すれば税負担は抑えられる

じゃあ、どうしたらええのか。答えはひとつではないけれど、共通して言えるのは「空き家は、使ってなくても管理する」ことが大前提。

たとえば——

定期的な換気・清掃
近隣からのクレームが出ないよう草木の手入れ
雨漏りや外壁の崩れの有無を点検
必要に応じて簡易なリフォームや修繕

これだけでも、「適切な管理がされている」と見なされ、「特定空き家」になるのを防げる可能性が高まります。

空き家を管理するのが難しい場合は、京都市が委託しているNPO法人や民間の管理サービスに依頼するのも手。年数万円で定期点検や写真付きのレポートを送ってくれるところもあります。

まとめ:空き家と税金、知らなかったでは済まされない時代に

空き家を「ただの負の遺産」として扱うと、税金という形でじわじわと負担が増していきます。でも、「まだ住める」「貸せる」「活かせる」可能性があるうちは、住宅用地特例が効いてる。これ、結構大きなことなんです。

もうひとつ大事なのは、「情報を持っておく」こと。税の制度は年々変わる。京都市の空き家税もそうでしたが、突然「今まで通り」が通用しなくなることがある。でも、知っていれば慌てずにすむ。逆に、知らなかっただけで損をする——そんな状況はできるだけ避けたいですよね。

★最後に——「残すか、手放すか」だけじゃない選択肢

この記事をここまで読んでくれた方は、きっと空き家の扱いに悩んでいるか、「そのうち考えなあかんなぁ」と思っている方だと思います。

放置すれば税金、でも手放すのも惜しい。そんなときに、akimiiのようなサービスができることは、「提案」という形で寄り添うことやと思っています。

売る・貸すだけやなくて、「カフェにする」「子ども食堂に活かす」「期間限定の住まいにする」。そんな活用の選択肢を、あなたの空き家に合わせて一緒に考える宅建士さんとつながる仕組みです。

暑い京都の夏。汗をぬぐいながら、ふと通りがかった町家の前で、そんな未来の風景を想像する。使われていなかったはずの家に、また灯りがともる。そのひとつひとつが、きっとまち全体の力になっていくんやと思います。

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