
はじめに
祇園祭の7月の京都って、独特の空気になります。今年も組み立て中の鉾を見ながら、街中を歩いていたら、ふと路地の奥で見つけた古い町家の前で足が止まりました。
屋根が少し傾いていて、壁の色もくすんでる。でも、格子越しに見える奥の空間は、不思議とあたたかい雰囲気があって。
「あの家、昔は誰かの生活があったんやろなあ」って考えた瞬間、空き家のことを意識してしまいました。
最近の京都では、こうした古い家をどう活かすか、どう手放すかを考える人が増えています。
特に「京都 空き家 売却」「京都 空き家 相場」「京都 空き家 不動産会社」という検索をしている人の背景って、大きく3つに分かれるんですよね。
- 移住・住まい探し層:「京都で暮らしたい、安く手に入れたい」
- 投資・事業目的層:「古い空き家を安く買って宿やカフェにしたい」
- 所有者・相続層:「相続した空き家をどうにかしたい」
今回は、そんな三者それぞれに共通する疑問を、不動産会社の担当者に聞く形でまとめました。
「よくある質問」に答える形ですが、硬い話ばかりやなく、現場での肌感覚や京都らしい事情も交えてお届けします。
Q1. 京都の空き家、売るならどこに相談するのが正解?
「空き家の売却って、不動産会社に行けばいいんですか?京都ならではの相談先ってありますか?」
不動産会社担当者の答え:
「まず迷ったら、いきなり売却ではなく“話せる相手”を見つけることから始めるのがおすすめです。
京都は特に地域色が強くて、エリアごとの不動産会社の得意・不得意がはっきり分かれるんですよ。」
たとえば北区の町家と、宇治や亀岡あたりの農地付き一軒家では、扱う不動産会社のカラーがまったく違います。
だから一社だけに相談するより、複数社に査定を依頼して比較するのが大事なんです。
最近は「京都 空き家 バンク」という仕組みも注目されていて、京都市が窓口になって専門家とマッチングしてくれる公的なサービスもあります。
市の空き家バンクを経由すると、事前に現地調査が入るので、遠方に住んでいる人でも安心して任せられるという声も増えていますね。
私自身も、親戚の空き家を相談したとき、いきなり「売る前提」でなく「どう活かすか?」というところからスタートしてくれる会社に助けられたことがあって。
この“話しやすさ”って、後悔しない売却の第一歩なんやなと感じています。
Q2. 京都の空き家の売却相場はどれくらい?
「京都の空き家っていくらくらいで売れるんですか?築年数が古すぎても価値ありますか?」
不動産会社担当者の答え:
「これは立地と建物の状態で本当に幅が広いんです。
市街地の町家なんかは、築70年でも立地が良ければ数千万円で売れることもあるし、郊外で道幅が狭いエリアだと数百万円台ということも普通にあります。」
ここ数年で特に増えたのは、“古いけどリノベ前提で買う”層。
移住者や、カフェや宿を開きたいという事業目的の方が、古い家の雰囲気を活かす買い方をしているんです。
とはいえ、「格安で買えるのでは?」と期待してくる人も多いので、現実の相場感を知ることは大切です。
土地価格+リフォーム費用=トータルの予算を見ながら進める人が多いですね。
ちなみに、市街地の好立地は“思ったより高く売れる”、郊外の不便な立地は“想像より下がる”、この両極端の傾向が強くなっています。
私の友人が西陣の古い家を売ったときも、「もうボロボロやし無理やろ」と思っていたら、町家好きの人が見事に再生してくれて。
「こんなふうになるんか」と、感心してしまいました。
Q3. 空き家売却に必要な書類は?

「売却のときって、どんな書類を準備しておけばいいんですか?」
不動産会社担当者の答え:
「最低限、これだけは準備しておくとスムーズです。」
- 登記簿謄本(法務局で取得)
- 固定資産税の納税通知書
- 建物図面・間取り図
- 本人確認書類(運転免許証など)
- 相続なら遺産分割協議書・戸籍謄本
この中でよく抜けがちなのが、建物の図面と相続関係の書類。
古い家や相続物件の場合は、過去の資料が残っていないことも多いので、見つかったら早めにまとめておくといいですね。
「図面なんてない」という場合でも、不動産会社や建築士が現地で採寸して作ってくれることもあります。
最初から完璧を目指さなくてもいいけど、「探せばある書類は整理しておく」だけでも交渉のスピードが全然違います。
Q4. 内覧のとき、何を準備しておくべき?
「買いたい人が見に来るときって、掃除とかリフォームってどこまでやるべきですか?」
不動産会社担当者の答え:
「これはね、きれいにしておくに越したことはないんですけど、やりすぎなくて大丈夫。
大切なのは“空き家のポテンシャル”を見てもらうことなんです。」
実際の現場では、最低限やっておきたいのはこの3つです。
- 玄関・水回りの掃除
- 荷物やゴミの片付け(生活感をなるべくなくす)
- 風を通して空気を入れ替えておく
リフォームまではしなくても、印象の良さが全然変わるのは間違いありません。
以前、親戚の家の売却で立ち会ったときも、もう20年以上空き家で、ホコリが積もってたんですが、前日に換気と簡単な掃除をしただけで見違えるほど。
来られた方も「思ったより明るいですね」って、その場で話が進んだことがありました。
逆に、「ここはリフォーム前提やな」と思われる物件は、中途半端に直してしまうと逆効果。
最初から“直すこと前提”の人にとっては、直された部分を全部やり直したくなることもあるので、修繕するなら徹底的に・しないなら最低限整えるのが基本です。
Q5. 京都の空き家売却で失敗しない準備とは?
「いきなり売り出すよりも、事前にやっておくと得になる準備ってありますか?」
不動産会社担当者の答え:
「はい、これはもう現地調査と書類整理、そして相続関係の確認。この3つに尽きます。」
- 現地調査
屋根の傾きやシロアリの跡、基礎のひび割れなど、目に見える劣化を把握しておくと、交渉の時に慌てずに済みます。
特に京都の町家は、間口が狭い代わりに奥行きがある造りで、見えにくい部分に問題が隠れていることも多いんです。 - 書類整理
前編でも触れたとおり、登記簿や税金の書類を事前に揃えておくことで、スピード感がまったく変わります。 - 相続関係の確認
これが一番揉めやすい部分。兄弟姉妹の意見が割れていると、売却話が進みません。
だからこそ、早い段階で家族の意向を揃えることが大切です。
京都では、代々受け継いできた土地や家という意識が強いので、最初は感情的になりやすいんですが、不思議と一回話し合って方向が決まるとスムーズに進みます。
Q6. 契約不適合責任って何?どう備えたらいい?

「契約のときに出てくる“契約不適合責任”って何ですか?怖いんですけど…」
不動産会社担当者の答え:
「簡単にいうと、売ったあとに“聞いてなかった欠陥”が見つかったら、売主の責任になる制度のことです。
たとえば、雨漏りしていたのに黙っていた、とかですね。」
京都の古い家は、構造が独特な分、これが後から問題になるケースが多いんです。
備える方法は大きく2つ。
- 事前にできる限り調査して申告すること
隠すのではなく、むしろ先に正直に伝えることがトラブル防止になります。 - 契約時に“現状有姿(げんじょうゆうし)”での売買契約を結ぶ
「現状のままで引き渡します」という条件で契約する形。
これで買主も納得したうえで購入するので、後からの責任範囲が明確になります。
特に京都の町家では、古さを魅力と感じる人が多いので、隠さずに「これが今の状態です」と伝える方が逆に信頼を得るケースが増えています。
京都の空き家、投資目的の人が気にすること
最近の傾向として、移住者よりも投資・事業目的で買いたい人が増えていると不動産会社は言います。
「カフェにしたい」「民泊にしたい」という需要が強く、場所によっては古さをそのまま活かすことを前提にした購入希望も多いんです。
こういう方は、物件の個性・構造に価値を見いだしてくれるので、価格だけでなく“ストーリー”をどう伝えるかも大事になってきます。
私も何度か取材でそういう現場を見たことがありますが、少し手を加えただけで息を吹き返す家の姿は、見ていてワクワクします。
Q7. 契約後のトラブルを避けたい。「契約不適合責任」って何ですか?
不動産会社担当者の答え:
「この言葉、聞き慣れないと思いますが、要は“売ったあとで説明してなかった欠陥が見つかると責任を問われる可能性がある”という決まりです。
雨漏り、シロアリ、配管の故障など、知らなかったら仕方ないけど、知っていて黙っていたらトラブルのもとになります。京都の古い町家は築年数が長いぶん、想定外の劣化が出ることもありますから、事前に建物調査(インスペクション)を受ける方も増えています。
それをもとに契約書にしっかり明記すれば、買う側も安心ですし、売る側も“後で揉めない”という意味で安心できますよ。」
この説明を聞くと、少しホッとしませんか。
私も過去に父の家を売却した時に、壁の中の配管が古かったことを事前に伝えたら「教えてくれて助かるわ」と言われて。
なんでも正直に伝えた方が、気持ちもスッキリするんやなと実感しました。
Q8. 空き家はリフォームしてから売った方がいいの?
不動産会社担当者の答え:
「これは物件によって判断が分かれます。
最近は、京都の空き家を自分でリノベーションしたいという買い手も多いので、下手に手を入れるより“そのまま”で売った方が早く決まることもあります。一方で、水回りだけ古くて汚れているような場合は、そこだけ簡単に整えておくだけで印象がグッと良くなります。全部を新築同然にすると費用が大きくなり、売値に反映しても回収できない場合もあります。売る前に『どこまで整えた方がいいのか』は、不動産会社に一度見てもらいましょう。リフォームするかどうかで迷ったら、まずは専門家の意見を聞くのが一番近道です。」
私も古い町家を見に行った時、「ここを直すだけで印象全然ちゃうな」と思ったことがあります。
全部きれいじゃなくてもええ。必要な部分だけ手を入れるっていう考え方が、実は一番合理的やなと思っています。
Q9. 複数の不動産会社に査定を頼んでもいいの?

不動産会社担当者の答え:
「もちろん大丈夫ですし、むしろ複数社に依頼した方がいいです。
同じ京都の空き家でも、不動産会社ごとに得意な地域や顧客層が違うので、査定額には差が出ます。
だから金額だけでなく、“説明の丁寧さ”や“売却の進め方の提案”も比べるのが大切です。特に注意したいのが、相場より高すぎる金額を提示されるパターン。最初は高く見せても、あとで『やっぱり値下げしましょう』と調整されることもあります。
そのため、査定額の根拠をちゃんと説明してくれる担当者を選ぶのが大事ですね。」
担当者の言葉を聞いていると、「あ、この人となら腹を割って話せそうやな」と直感的にわかる瞬間があります。
私もそういう人に出会えた時、ほっとするんですよね。
Q10. 空き家を売るか迷っています。最後にアドバイスをください
不動産会社担当者の答え:
「空き家の売却は、気持ちの整理とタイミングの問題です。
相続してそのままにしている人も多いですが、放置していると固定資産税や管理の負担は増える一方。
まずは『今の家の状態を知る』ところから始めてください。
査定を受けたからといって、すぐ売る必要はありません。
プロに相談するだけでも、次に何をすればいいかが見えてきます。」
私もその言葉に同感です。
売るかどうかを考える前に、いったん現状を知ってみる。
動いてみるだけで、気持ちがふっと軽くなることってあります。
- まとめ:京都の空き家は「早めの一歩」が未来を変える
この記事を通して、不動産会社の担当者たちが口をそろえて言っていたのは、「まずは一歩動いてみること」です。
・京都の空き家を放置するとどうなるか
・契約トラブルを防ぐためにできること
・リフォームするかどうかの見極め方
・査定のときに比べるべきポイント
こういった知識があるだけで、不安が少しやわらぐはずです。
京都という町に残る空き家は、それぞれに物語があります。
その物語を、次の人につなげるためにも。
迷っているなら、まずは信頼できる不動産会社に相談してみてください。
そこから未来の選択肢が広がることも多いんです。