
はじめに:悩んだときの「声のかけ先」がない
「実家が空き家になってて…でも、どうしたらええか分からへんねん」
親戚の集まりで何気なく出た話。けっこう、こういうの多いんですよね。誰に相談したらええのか、何から始めたらいいのか。そもそも、“空き家のこと”を気軽に話せる相手が見つからない。それが、じわじわ悩みを大きくしてる原因やったりします。
そんなとき、ちょっとでも役に立てたらと思ってこのコラムを書いてます。
京都で空き家を持ってる人が、「どこに相談したらいいか?」を考えるとき、選択肢は案外いろいろあります。行政、専門家、不動産会社、NPO法人。それぞれ、得意分野も対応範囲も少しずつ違っていて、自分に合ったところにたどり着くには“地図”が必要なんです。
まずはその“地図”の役割を、このブログで担えたら。では、順番に見ていきましょう。
【1】市区町村の窓口:まずは行政の支援を知る

京都市では、「空き家対策支援窓口」
京都市空き家相談窓口(京都市都市計画局住宅政策課) | 京すまいの情報ひろば : https://miyakoanshinsumai.com/company/company-5769/
や「空き家総合相談窓口」
京都市:空き家対策総合案内|https://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/page/0000168988.html
を通じて、様々な情報提供やサポートを行っています。たとえば、活用方法のアドバイスや、補助金制度の紹介、老朽空き家の調査相談など。
実際、「京都市空き家活用支援事業」
京都市:【令和7年度】京都市空き家等の活用・流通補助金について : https://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/page/0000329679.html
では、リフォーム費用の補助金が出る制度があって、知らないと損やなあと思うくらい手厚いです。こうした行政サポートは、営利目的ではないぶん、情報も中立。安心して相談できます。
ただし、実務に踏み込んだ具体的なアドバイス(たとえば「この物件、いくらくらいで売れる?」みたいな話)はやっぱり限界があります。なので、まずは全体像を掴みたい人にはおすすめ。でも、「具体的にどうするか」は、次のステップも考えるのがベターです。
【2】不動産会社:売却や賃貸のプロに聞く

空き家を売ったり、貸したりしたいと思ったら、不動産会社が相談相手の第一候補になります。ただ、「どの会社を選ぶか」はすごく大事。というのも、不動産会社って“専門”がそれぞれ違うからです。
たとえば、収益物件に強い会社、リノベーション販売が得意な会社、賃貸管理がしっかりしてる会社…。だから「相談する相手を間違えると、ずいぶん遠回りする」ことがあるんですよね。
実際、こんな話がありました。
築40年の実家を持つ知人が、最初に相談した会社では
「解体して更地で売りましょう」
と即決。でもそのあと、別の会社に見せたら
「リノベして民泊に活かせますよ」
と提案が。しかもそっちのほうが、収益的にもプラスだったという…。
空き家の価値は、「どう活かすか」で変わる。だからこそ、提案力のある不動産会社を探すことが大事やと思います。
【3】弁護士・税理士・司法書士:相続や税金まわりの専門家

空き家問題の入り口って、「不動産の活用」じゃなくて、
- 「相続で揉めた」
- 「名義があいまい」
- 「固定資産税が高い」
みたいな“お金と権利”の問題であることも多いんですよね。
そういうときに頼れるのが、法律や税務の専門家たち。
たとえば、弁護士に相談すると、相続放棄や遺産分割協議の進め方、他の相続人との調整についてアドバイスしてくれます。
司法書士は、名義変更や登記関係の手続きに強く、実務的に「動かす」段階で役立ちます。
そして、忘れちゃいけないのが税理士。とくに「空き家を売ったら税金はどれくらいかかるのか?」というのは、多くの人が疑問に思うポイント。最近では
「空き家を売却した際の特別控除(3,000万円特別控除)」
なんかもあって、制度を知らずに損する例もあります。
専門家への相談は、1時間1万円前後の費用がかかることもありますが、「初回無料相談」をやっているところも多いです。市町村が主催する「空き家無料相談会」などでも、弁護士・税理士・司法書士が日替わりで相談に応じてくれたりするので、まずはそういう場を活用してみるのもいいかもしれません。
【4】建築士・リノベ会社:再生や活用のアイデアパートナー

次に考えたいのが、「この空き家、使えるやろか?」って話。
たとえば、長年放置されていた町家で
「床が抜けた」
とか
「屋根が傾いてる」
なんてケースは珍しくありません。でも、古い建物でもちゃんと補修すれば活かせることもあるし、逆に見た目が大丈夫そうでも、構造的に危ないこともある。
ここで力を発揮してくれるのが、建築士やリノベーション会社です。
たとえば、京都で活動する「京町家再生研究会」
京町家再生研究会 | 京町家と町衆の暮らしを保存・継承する特定非営利活動法人 : https://saisei.kyomachiya.net/
は、現地調査や診断、活用相談に乗ってくれるところもあります。
さらに、
「古民家をカフェにリノベしたい」
「シェアハウスにできるかな?」
みたいな活用を前提とした改修を考えているなら、店舗設計やコンバージョンに強い設計事務所や施工会社と早めに話すのがおすすめです。
重要なのは、
“直すための相談”
ではなく
“活かすための相談”
であること。活用前提で考えると、必要な工事も変わってくるし、費用対効果の視点も違ってきます。
【5】NPO法人・空き家バンク:地域密着の中間支援団体

意外と知られていないけど、めっちゃ頼りになるのがこの層。
NPO法人や地域団体が運営する空き家バンクでは、「貸したい人」と「借りたい人」または「買いたい人」とをつなげるマッチング支援を行っています。
京都市にも「空き家活用応援団」的な団体や、個別の地域で活動するまちづくりNPOがあります。
京都市版空き家バンク「京都安心すまいバンク」 | 京都市空き家対策室 : https://akiya.city.kyoto.lg.jp/ansuma-bank/
彼らは“地域とのつながり”を大事にしてるから、商業施設にするか、住まいにするか、地域のニーズと照らし合わせながら活用を考えていけるんです。
なかには、空き家を「子ども食堂」にしたり、「コミュニティカフェ」に改修した事例もあって、収益性ではなく「まちにとっての価値」を重視する人には、とても良い相談先になります。
利用料は無料〜数千円で、実際の活用支援やリノベーションに関する助言も含まれてることが多いです。
【6】「誰に、何を」相談すればいいのか?整理してみる

ここまで読んでくださった方へ、最後にもう一度だけ。
相談先っていろいろあるけど、大事なのは「今の自分がどの段階にいるのか」をまずは知ること。
あなたの悩み | 相談先の目安 |
---|---|
空き家の権利関係が不明 | 弁護士・司法書士 |
相続・名義変更の手続きが必要 | 司法書士・行政窓口 |
固定資産税や売却時の税金が不安 | 税理士 |
売りたい・貸したい | 不動産会社(得意分野を見極めて) |
リノベ・再生したい | 建築士・リノベ会社 |
地域貢献・町づくりに活かしたい | NPO法人・空き家バンク |
もちろん、最初はどこに相談していいかすら分からないという方も多いと思います。そのときは、まずは行政の窓口や空き家バンクを訪ねてみるのがよい入り口になります。
まとめ:迷ったときは、「話してみる」とこから
空き家のことって、「今すぐ解決しないと」って焦るものでもないし、逆に「放っておいていいやろ」と思ってるうちに、どんどん事態が悪化してしまうこともある。
放置が長引くと、倒壊リスクや特定空き家の指定(=固定資産税が6倍)という現実もあります。
だからこそ、「話してみる」「聞いてみる」って、思ってる以上に大事なんです。完璧な答えを求めなくてもいいから、まずは誰かと話す。選択肢に触れる。そこでやっと、「自分は何をしたいのか?」が見えてくる。
このブログが、その最初の“声をかける”きっかけになったらうれしいです。