
📋 この記事でわかること
今日も事務所に、こんなため息まじりの相談が届きました。
「実家が空き家になったので、とりあえず京都の空き家バンクに登録してみたんです。でも、もう何年も経つのに『問い合わせゼロ』のままで……。やっぱりうちの家には価値がないんでしょうか?」
役所の制度を使えば安心だろうし、いつか誰かが見つけてくれるはず——そう信じて待っていたのに、誰からも声がかからない。毎年の固定資産税だけが家計を圧迫していく。だから「もう壊すか、タダ同然で手放すしかない」と絶望的な気持ちになってしまう。そのお気持ち、めちゃくちゃよく分かります。
でも、ちょっと待ってください。「問い合わせが来ない=価値がない」というのは、大きな勘違いかもしれへんのです。
一級建築士・宅建士として、コトスタイルで京都・関西の店舗出店・空き家活用支援に関わってきた立場から、行政任せでは家が動かないリアルな理由と、民間プラットフォームを使って状況を劇的に変える発想の転換をお伝えします。
空き家バンクはただの「掲示板」にすぎない
まず前提として、空き家バンクとはどういうものかを正確に理解しておきましょう。
空き家バンクは自治体が運営する「空き家の情報を掲載するウェブサービス」です。空き家のオーナーが物件情報を登録し、移住希望者や利用希望者がその情報を閲覧して問い合わせる——という仕組みです。
一言で言えば、「スーパーの棚の奥の方に、ひっそりと商品を置いただけの状態」です。誰かが棚のその場所まで来て、自分で手に取ってくれるのを待つしかありません。
📋 空き家バンクができることとできないこと
- ✅ できること:物件情報をインターネット上に掲載する
- ✅ できること:移住希望者・利用希望者に情報を届ける(閲覧してくれた人に限る)
- ✅ できること:登録費用は無料
- ❌ できないこと:あなたの物件を特別に売り込む「営業活動」
- ❌ できないこと:物件の魅力を引き出した「感情に訴えるPR」
- ❌ できないこと:特定の需要層(クリエイター・カフェ希望者など)へのターゲット訴求
- ❌ できないこと:売買・賃貸契約の仲介(別途不動産会社が必要)
この「できること・できないこと」を正確に理解した上で空き家バンクを使わないと、何年待っても問い合わせが来ないという状況に陥ってしまいます。
役所は「営業」をしてくれない——行政の限界
「空き家バンクに登録すれば、役所の人が買い手や借り手を探してきてくれる」——真面目な方ほど、そうやって行政の力に期待してしまいます。でも、これが大きな誤解の始まりです。
「公平性」が足かせになる
役所の担当者は、行政として公平性を保つ義務があります。そのため、登録されている何十件・何百件もの物件の中から、あなたの実家だけを特別に贔屓して営業マンのように売り込んでくれるわけではありません。
これは役所の担当者が怠けているのではなく、行政という性質上、そういう動き方ができないんです。
つまり、空き家バンクにはそれ自体の強みもありますが、「待つだけ」の状態では家を動かす力が限定的なんです。
画一的なフォーマットでは家の魅力が伝わらない
空き家バンクにはもう一つ大きな弱点があります。それは、情報の見せ方が「お役所仕事」のフォーマットになってしまっていることです。
「築年数・面積・間取り」だけでは人は動かない
掲載される写真は数枚程度で、あとは築年数や面積、間取りといった無機質な条件がズラリと並ぶだけ。これでは、その家が持っている「歴史の趣」や「庭の豊かさ」といった、数字には表れない本当の魅力がまったく伝わりません。
同じ物件でも「見せ方」でこれだけ違う
❌ 空き家バンクの典型的な見せ方
所在地:京都市○○区|築年数:52年|床面積:98㎡|間取り:4DK|土地面積:185㎡|現況:空き家
✅ 感情に訴える見せ方
「黒光りした梁と土壁が残る京都の古民家。坪庭には苔が育ち、縁側からの眺めが最高です。直す費用はないけれど、現状のまま自由にDIYして使っていいですよ。週末カフェやアトリエにしたい方、大歓迎。」
同じ物件でも、「条件の羅列」と「感情に訴える文章」では、人の心への刺さり方がまったく違います。家を動かすのは「スペック」ではなく「物語」です。
「条件」ではなく「感情」が人を動かす
マーケティングの世界では「人の購買行動の95%は無意識の感情で決まる」と言われています。不動産も例外ではありません。
「客観的な良さ」より「心の中の認識」が現実を作る
同じ物件でも、「築52年・4DK・98㎡」という情報を見て何も感じない人が、「黒光りした梁のある空間で週末だけのカフェを開きたい」という言葉を読んで心が動く——これが不動産における「知覚の戦い」の本質です。
スペックがどんなに優れていても、相手の心の中に「この家で暮らしたい・使いたい」というイメージが生まれなければ、問い合わせは来ません。逆に、スペックは普通でも「この空間でやりたいことがある」という感情が動いた瞬間、人は行動します。
📋 「感情を動かす」言葉の例——同じ事実でも伝え方を変えると
- 「天井が低い(条件)」→「胎内のような落ち着きがある(感情)」
- 「庭の手入れが必要(条件)」→「夏はビニールプールが置ける広さ(感情)」
- 「水回りが古い(条件)」→「全部自分好みにDIYできる余白(感情)」
- 「駅から遠い(条件)」→「車でしか来られない隠れ家感(感情)」
- 「近隣に店が少ない(条件)」→「週末だけのカフェが絵になる静けさ(感情)」
「どう表現するか」だけで、同じ家の価値がまったく違って見えてきます。空き家バンクの画一的なフォーマットでは、この「感情の翻訳」ができないんです。
借り手は「完成品」ではなく「余白」を探している
「でも、うちの実家は古くてボロボロだから、どうせ魅力なんてないよ」——そう決めつけてしまう前に、少し視点を変えてみましょう。
今の時代の需要は「余白」にある
ピカピカにリフォームされた完成品の家よりも、「少し古くてもいいから、自分好みにDIYできる家」や「音や汚れを気にせずアトリエとして使える家」を探している人が確実に増えています。彼らが求めているのは、完璧な設備ではなく、自由に夢を描ける「空間の余白」です。
「古い家の余白」を求めている人たち
- 🔨 DIY好きの若いカップル・ファミリー→ 「自分たちで直す家がほしい」
- 🎨 クリエイター・アーティスト→ 「汚れを気にせず制作できる場所がほしい」
- ☕ 飲食店を開きたい料理人→ 「古民家の雰囲気でカフェを開きたい」
- 🌿 スローライフ・移住希望者→ 「庭付きの家で自給自足したい」
- 📸 フォトグラファー・映像クリエイター→ 「古い家の雰囲気を撮影に使いたい」
- 🐕 大型犬・多頭飼いオーナー→ 「庭付き一戸建てで伸び伸び暮らしたい」
- 🏠 週末の「場」を作りたい人→ 「週末だけの隠れ家・居場所を作りたい」
あなたが弱点だと思っている「古さ」や「手入れの行き届いていない庭」は、そうした人たちにとっては喉から手が出るほど欲しい最高の魅力に反転するんです。
でもその魅力は、空き家バンクの画一的なフォーマットでは伝わりません。
「待つ」から「自分からパスを出す」への転換
問い合わせゼロが続く最大の原因は、「行政の掲示板に登録して、あとは待つだけ」というスタンスにあります。
ゴール前で待っていてもボールは来ない
サッカーでも同じですよね。ゴール前でただ立ち止まって「誰かパスをくれないかな」と待っていても、ボールは絶対に回ってきません。自分からフリーなスペースに走り込み、味方に向かって「ここにいるぞ!」と手を出して、初めてパスはつながるんです。
家もまったく同じです。行政の掲示板に丸投げして思考停止するのではなく、自分から「うちの家にはこんな余白があるで!」と世間に向かってパスを出す——その主体的なスタンスの切り替えが、空き家の未来を大きく変える最大の鍵になります。
「受け身」から「能動的」への4つの転換
空き家バンクで3年問い合わせゼロ→民間で即決した実例
ここで、私が現場で実際に見たあるケースをお話しします。
ある方が、京都の郊外にある古い実家を空き家バンクに登録していました。しかし、立地も不便で建物も古かったため、3年経っても問い合わせはゼロ。「やっぱり価値がないんだ」と諦めかけていたそうです。
「見せ方」と「場所」を変えただけで状況が一変した
そこで私たちは「待つ」のをやめて、民間のマッチングサービスに情報を移すことを提案しました。単なる条件の羅列ではなく、「現状のままで、好きにDIYして使っていいですよ」と、家の「余白」を前面に押し出した見せ方に変えたのです。
この実例で変えたこと・変えていないこと
- ❌ 変えていないこと:家の状態(築年数・設備・立地は一切変わっていない)
- ✅ 変えたこと①:掲載する「場所」(空き家バンク→民間マッチング)
- ✅ 変えたこと②:「見せ方」(条件の羅列→余白を前面に出した感情訴求)
- ✅ 変えたこと③:「ターゲット」(誰でもいい→DIY・カフェ希望者に絞り込む)
結果はどうなったか。掲載した途端に、「こういう味のある家を自分たちで改装して、週末カフェにしたいです!」という若者たちからの提案が殺到したのです。
家自体は何も変わっていないのに、見せ方と伝える場所を変えただけで、価値ゼロだと思っていた家が宝物に変わった瞬間でした。
民間マッチングサービスが空き家バンクより優れている理由
では、民間のマッチングサービスには具体的にどんな強みがあるのでしょうか。
① 「感情に訴える」情報発信ができる
民間サービスでは、写真の枚数・説明文の内容・見せ方を自由にカスタマイズできます。「この家でできること」を物語として語れるため、見た人の感情を動かしやすいです。
② 特定の需要層に「刺さる」訴求ができる
「DIY歓迎」「アトリエ利用OK」「週末カフェを開きたい方歓迎」——こうした言葉を入れることで、その家の余白を求めている特定の人たちに深く届けられます。
③ 全国・世界から反応が来る
空き家バンクは主に「移住を考えている地域の人」に向けたサービスですが、民間プラットフォームでは全国のアイデアマンから反応が来ます。京都の古民家を求めているのは、京都府内の人だけではありません。
④ 「提案型」で需要を掘り起こせる
通常の不動産サービスは「こんな家があります、いかがですか?」という提示型です。一方、akimiiのような民間マッチングサービスでは、「この家でどんなことがしたいですか?」とオープンに問いかけることで、所有者自身が思いもよらなかった活用アイデアが届くことがあります。
空き家バンクと民間マッチングは「両立」できる
「空き家バンクを辞めないといけないの?」という方のために、明確にお伝えします。
空き家バンクの登録をしたまま、並行して民間マッチングサービスを使うことは問題ありません。両方に情報を載せることで、より多くのチャネルから問い合わせが来る可能性が高まります。
📋 空き家バンク×民間マッチング 両立活用ロードマップ
- Step 1:akimiiで写真を登録して「世間の反応」を確認する(無料・匿名)
- Step 2:届いたアイデアをもとに「どんな人に使ってほしいか」の方向性を固める
- Step 3:空き家バンクの掲載文・写真を、感情に訴える内容に更新する
- Step 4:相続登記・権利関係の確認をしておく(京都市の空き家バンク登録に必要)
- Step 5:民間マッチングで届いた提案の中から方向性を決めて、宅建士・専門家に相談する
空き家バンクの詳細については、こちらも参考にしてください。
→ 空き家 売るべきか貸すべきか|京都オーナーが後悔しない選択
akimiiで「問い合わせゼロ」を脱却する方法
「でも、民間のサービスってなんだか難しそう……」——そんな不安があるなら、ぜひ試していただきたいサービスがあります。
スマホで写真をのせるだけでOK
akimiiは不動産屋の窓口に行かなくても、スマホから匿名で実家の写真をのせるだけでOKです。「どんな人に使ってもらいたいか」を自由に書くことができます。
「直すお金はないけれど、現状のままで使いたい人はいませんか?」と、素直に問いかけてみるだけでいい。すると、それを見た全国のアイデアマンたちから「ここをアトリエにしたい」「シェアハウスとして使いたい」といった、あなたの想像をはるかに超えた提案が無料で直接届きます。
「写真を撮って登録する」——その小さな行動が何年もの停滞を破る
空き家バンクのようにただ待つのではなく、世間の人たちと「こんな使い方あったんだ」とワクワクを共有できる。それが民間サービスならではの圧倒的な強みです。
akimiiで登録する際のポイント
- 📸 写真は「換気した後」「照明をつけた状態」で撮る→ 明るく見せるだけで印象が変わる
- ✍️ 「直せない部分」を正直に書く→ 「水回りは古いけどDIY自由」と書くとクリエイター層が反応する
- 🎯 「こんな人に使ってほしい」を具体的に書く→ 「週末カフェをやりたい方」「アトリエを探している方」など
- 🌿 庭・縁側・坪庭などの「プラス要素」を強調する→ 数字では伝わらない魅力を言葉にする
- 🔓 匿名で登録できる→ 個人情報を公開せずに世間の反応を確認できる
「問い合わせゼロ」に悩んでいた空き家が動き始める——その第一歩は、今週末の写真撮影から始まります。
写真を使ったアイキャッチ・内見対策については、こちらも参考にしてください。
→ 古い家の「匂い」と「カビ」——内見で嫌われないための低コストな対策
空き家バンクで何年も動かない家が、
世間に「余白」を見せただけで動き始めることがあります。
akimiiでは写真を登録するだけで活用の提案が届きます。匿名OK・営業電話なし・完全無料。
空き家の可能性を、写真で見てみる →よくある質問
まとめ——「問い合わせゼロ」は家のせいじゃない。見せ方と届け先のせいだ
空き家バンクに登録したのに「問い合わせゼロ」が続いている——それは、あなたの実家に価値がないからではありません。単に、その魅力が伝わらない「間違った場所」で、ただじっと待ち続けてしまっているからです。
📌 この記事のまとめ
- 空き家バンクはただの「掲示板」——役所は営業活動・売り込みをしてくれない
- 画一的なフォーマットでは家の「本当の魅力」が伝わらない
- 人を動かすのは「条件」ではなく「感情」——同じ家でも見せ方で価値が変わる
- 今の時代の需要は「完成品」より「余白」——古さは弱点ではなく武器になる
- 「待つ」から「自分からパスを出す」へ——能動的なスタンスへの転換が鍵
- 空き家バンクと民間マッチングは両立できる。両方使うことで可能性が広がる
- まずakimiiで世間の反応を確認→方向性が見えてから専門家に相談する
「役所がなんとかしてくれる」という受け身の姿勢を捨てて、自分から世間に向かってパスを出してみる。その少しの発想の転換だけで、見放されていた空き家の未来は180度変わります。
白黒つけて「もう捨てるしかない」と絶望する前に。まずは今週末、実家の写真をスマホで数枚撮ってみてください。そして、その写真をakimiiのような場所にのせて、「うちの家の余白を、面白がってくれる人はいないかな」と少しだけ期待してみる。その小さなアクションが、何年も動かなかったご実家の時計の針を再び動かす確実なスタートラインになるはずです。
「待つ」のをやめて、世間に「余白」を見せてみませんか。
それが、何年も止まっていた時計を動かす一手です。
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穴澤 陸平(あなざわ ろっぺい)
一級建築士 / 宅地建物取引士 / MBA|コトスタイル株式会社・株式会社グッドランプ 代表
コトスタイルとして京都・関西を中心に300件超の店舗開業・空き家活用支援に携わる。建築・不動産・経営の複合的な視点から、空き家の可能性を広げることを専門とする。