
📋 この記事でわかること
天気の良い日の朝は、いつものように鴨川沿いをランニングして心と身体のリズムを整えます。
今日も事務所に、こんな不安に満ちた相談が届きました。
「ニュースで京都市の空き家税とか、特定空き家って言葉をよく聞くんですけど、放置しているうちの実家は大丈夫でしょうか?」
長年誰も住んでいない実家。「どうしていいか分からないからそのままにしているけど、税金がすごく上がったりするの?」と内心ビクビクしている方も多いはずです。
結論から言います。その不安は的中しています。行政からの指導を無視し続けると、家計にとんでもないペナルティが待っています。
一級建築士・宅建士として、コトスタイルで京都・関西の空き家活用支援に関わってきた立場から、「特定空き家」「管理不全空き家」のリアルと、ペナルティを避けるための現実的な対策をお伝えします。
固定資産税が突然6倍に——住宅用地特例が外れる仕組み
「誰も住んでいないから、とりあえず置いておこう」と実家を放置していると、ある日突然、税金の請求額がドカンと跳ね上がる可能性があります。
「住宅用地の特例」という税金の割引が強制終了される
家が建っている土地には「住宅用地の特例」という固定資産税の大幅な優遇措置が適用されています。「持っているだけなら固定資産税もそこまで高くないし」と安心していた方も多いと思いますが、特定空き家に指定されてこの特例が外れると、税負担が最大6倍に膨れ上がります。
⚠ 固定資産税シミュレーション例(土地200㎡・路線価30万円/㎡のケース)
- 固定資産税評価額:6,000万円(路線価×面積×0.7)
- 住宅用地特例あり(通常):6,000万円 × 1/6 × 1.4% = 約14万円/年
- 特定空き家指定で特例が外れると:6,000万円 × 1.4% = 約84万円/年
- 差額:約70万円/年の増税
※あくまでシミュレーション例です。実際の税額は市区町村・固定資産評価額によって異なります。
空き家の放置は「現状維持」ではなく、確実に家計を追い詰める「赤字の垂れ流し」です。
「管理不全空き家」という新ルールで逃げ道がなくなった
「うちの実家はまだ倒壊するほどボロボロじゃないから、特定空き家にはならないでしょ」——そう高を括っていると、足元をすくわれます。
2023年末から始まった「管理不全空き家」制度
2023年12月施行の改正空家等対策の推進に関する特別措置法により「管理不全空き家」という新たなカテゴリが加わりました。「今はまだ特定空き家じゃないけれど、このまま放置したら危ない予備軍」に対しても行政が指導を入れ、従わなければ同じように税金の減額措置を外すというものです。
つまり「まだ大丈夫」という言い訳が通用しなくなりました。京都市をはじめ全国の自治体が空き家対策に本腰を入れている今、逃げ道は完全に塞がれたと思っておいた方がいいかもしれへんね。
国土交通省の空き家対策情報サイトでも最新の制度情報を確認できます。
どんな家がアウト?「レッドカード」をもらう基準
具体的にどんな状態だと「管理不全」や「特定空き家」とみなされるのか。現場を回っている私の感覚から整理します。
⚠ こんな状態は要注意——指定される可能性がある
- 屋根・外壁が崩落しかけている・大きくひび割れている
- 台風で割れた窓ガラスがそのままになっている
- 庭の雑草が伸び放題で、道路・隣地にはみ出している
- トタン屋根が剥がれかけており、強風で飛ぶ危険がある
- 悪臭・害虫・害獣の発生源になっている
- ブロック塀が傾いて倒壊の危険がある
- 景観条例が厳しい京都市の景観地区内で著しく外観が損なわれている
近所からのクレームが行政を動かす
行政が空き家に目を光らせる一番のきっかけは、「ご近所からの苦情」です。「隣の空き家から嫌な臭いがする」「庭の木がうちの敷地に入ってきて虫が湧いている」「台風で屋根が飛んできそうで怖い」——こういった地域のSOSが役所に届くことで、行政の調査が始まります。
崩れたブロック塀が隣の家を傷つけたり通行人にケガをさせたりすれば、所有者であるあなたが多額の損害賠償を請求されることにもなりかねません。
長年親が大切に暮らしてきたご実家が、ご近所から「早くなんとかしてほしい迷惑な家」として見られるのは、本当に悲しいことです。
京都市の「空き家税」——2030年度から始まる新たな負担
特定空き家・管理不全空き家のペナルティに加えて、京都市には独自の課税制度も控えています。
📋 京都市の空き家税(現時点の情報・詳細は京都市に確認)
- 📅 課税開始予定:2030年度(令和12年度)
- 🏠 正式名称:非居住住宅利活用促進税
- 💴 対象:居住者のいない住宅(一定の除外規定あり)
- ⚠️ 注意:詳細な税率・対象要件は今後の京都市の発表を確認
最新情報は京都市公式サイトでご確認ください。
「まだ先の話やし」と先送りするのではなく、今から動いておくことで将来の負担が小さくなります。特定空き家のペナルティ+空き家税のダブルパンチは、家計に相当なダメージを与えます。
指定されるまでの流れ——知らないと手遅れになる手順
「いきなり6倍になるの?」と不安に思う方もいると思います。実際には段階的な手順があります。でも「手順があるから時間がある」と思っていると危険です。
📋 特定空き家・管理不全空き家に指定されるまでの流れ
- 現地調査:行政が近隣の苦情などを受けて現地を調査
- 認定:「特定空き家」または「管理不全空き家」として認定
- 指導:所有者に対して改善を求める指導(書面)が届く
- 勧告:指導に従わない場合、勧告が出る→ この時点で住宅用地特例が外れる
- 命令:勧告に従わない場合、命令が出る(違反すると過料)
- 行政代執行:命令にも従わない場合、行政が強制的に解体し費用を所有者に請求
「勧告」の段階で住宅用地特例が外れます。行政からの書類が届いたら、必ず専門家に相談して早めに対応してください。
ペナルティを避けるための現実的な対策
まず最低限の「管理」を続ける
📋 指定を避けるための最低限の管理
- ☑️ 月に一度、窓を開けて換気する(シロアリ・カビ対策にも有効)
- ☑️ 草刈りを定期的に行い、道路・隣地への越境を防ぐ
- ☑️ 割れた窓・剥がれた外壁は速やかに修繕する
- ☑️ ブロック塀・屋根の状態を年に一度は確認する
- ☑️ 遠方で管理が難しい場合は空き家管理代行サービスを利用する
「管理するより活用する」方が根本解決になる
誰かに貸して人が住んでいる状態を作れば、換気・清掃・維持が自然に行われます。管理コストを払い続けるより、賃貸に出して「人に使ってもらう」方が根本的な解決になります。
しかも、賃貸中は「貸家建付地」として固定資産税評価額が下がる節税効果もあります。管理コストを払いながら放置するより、誰かに使ってもらいながら節税にもなる——一石二鳥の選択です。
空き家を貸す・活用する方法については、こちらも参考にしてください。
→ 空き家 売るべきか貸すべきか|京都オーナーが後悔しない選択
焦って「差し上げます」と手放す前に
「税金が6倍になるのも損害賠償も怖い。もう面倒だから空き家バンクに登録して、タダでもいいから誰かに譲ってしまおう」
不安に煽られると、つい極端な決断に走ってしまいがちです。でも、ボロボロに見える家でも、見方を変えればまだ十分な価値が眠っていることが現場では本当によくあります。
「どうせ誰も使わない」と素人判断で価値をゼロにする前に、いったん深呼吸して、冷静に家のポテンシャルを探ってみませんか。
akimiiは、スマホから匿名で実家の写真を載せるだけで、「この家でこんなことをやりたい」という提案が世間から直接届くサービスです。「雑草だらけで古い家ですが、現状のままで何か面白い使い道はありませんか?」と素直に問いかけてみる。すると「内装を自分たちでDIYして週末カフェにしたい」「アトリエとして借りたい」といった、想像を超えたアイデアが無料で届くことがあります。
「ええやん、こんな使い方あったんや」——空間の余白を楽しんでくれる人にパスを出すことができれば、レッドカードの恐怖に怯えることなく、実家を前向きに活かすことができます。
固定資産税が6倍になる前に、
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空き家の可能性を、写真で見てみる →よくある質問
まとめ——「見て見ぬふり」のタイムリミットは近づいている
📌 この記事のまとめ
- 特定空き家に指定されると「住宅用地の特例」が外れ、固定資産税が最大6倍になる
- 2023年末から「管理不全空き家」制度が開始。倒壊の危険がなくても指定される可能性がある
- 指導→勧告の段階で特例が外れる。行政からの書類は必ず早めに対応する
- 京都市は2030年度から独自の「空き家税(非居住住宅利活用促進税)」が課税開始予定
- 最低限の管理(換気・草刈り・修繕)を続けることが指定回避の基本
- 「管理するより活用する」——誰かに貸して使ってもらう状態が根本解決
- 焦って「差し上げます」と手放す前に、akimiiで世間の需要を確認する
「とりあえず」と決断を先送りにしている間にも、家は傷み、税金が激増するタイムリミットは確実に近づいています。今週末、実家に風を通しに行ったついでに、スマホで写真を数枚撮ってみてください。その小さなアクションが、大切な家計を守り、見放されていた実家に新しい息吹を吹き込む確実なスタートラインになります。

穴澤 陸平(あなざわ ろっぺい)
一級建築士 / 宅地建物取引士 / MBA|コトスタイル株式会社・グッドランプ株式会社 代表
コトスタイルとして京都・関西を中心に300件超の店舗開業・空き家活用支援に携わる。建築・不動産・経営の複合的な視点から、空き家の可能性を広げることを専門とする。