
📋 この記事でわかること
6月に入り、私が住んでいる京都・北大路のあたりも、すっかり梅雨空が広がるようになってきました。
先日、広島でサッカーの寮生活をしている高1の長男が久しぶりに帰省してきまして。相変わらずサッカー漬けの毎日みたいですが、泥だらけのスパイクを見て「がんばれるときにがんばるんやで」と、そっと心の中でエールを送っていました。家族の成長を感じる時間は、私にとって何よりのリフレッシュです。
今日も事務所に、私と同世代の方からこんなご相談が届きました。
「親も高齢になってきたし、実家を将来どうするか心配。でも『家どうするの?』なんて聞いたら、機嫌を損ねそうでなかなか切り出せなくて……」
このお悩み、現場にいる私にも痛いほどよく分かります。だから「今は元気だし、波風立てるくらいなら後回しでいいか」と決断を先送りにしてしまうんです。
でも、あえて少し厳しいことを言わせてください。親が元気な「今」動かないと、実家は誰も触れない「塩漬けの箱」になってしまう危険性があります。
一級建築士・宅建士として、コトスタイルで京都・関西の空き家活用支援に関わってきた立場から、親のプライドを傷つけずに「実家の未来」を話し合うステップをお伝えします。
ステップ1:「塩漬けの箱」になる前に——今動くべき本当の理由
「まだ元気だから」が一番危ない——認知症のリスク
「うちの親はピンピンしてるから、まだ先の話で大丈夫」——そう高を括っているのが、実は一番危ないパターンです。
もし親が認知症になり「判断能力がない」とみなされてしまうと、どうなるか。
⚠ 親が認知症になると、実家に関してできなくなること
- 実家を売ること
- 人に貸すこと
- リフォームや改修をすること
- 取り壊すこと
- 空き家バンクに登録・名義変更すること
- 相続対策のための贈与や契約をすること
不動産の取引はすべて所有者本人の明確な意思確認が必要です。「まだ元気」という思い込みが、結果的に実家を誰も触れない「塩漬けの箱」に変えてしまう。これが不動産の現場で起きている一番恐ろしいリアルです。
手遅れになると「空き家バンク」にも出せない
「いざ誰も住まなくなったら、京都市の空き家バンクにでも登録すればいいや」と軽く考えている方もいると思います。しかし、親の認知症が進んでしまってからでは、空き家バンクへの登録手続きすらできなくなります。
誰も住まない家がどんどん朽ちていくのを見ながら、ただ毎年数十万円の固定資産税と維持費だけを払い続けなければならない。「あの時、もっと早く話し合っておけば……」そんな後悔の涙を流すご家族を、私は何度も見てきました。だからこそ、元気な今がタイムリミットなんやと思います。
空き家放置のリスクについては、こちらも参考にしてください。
→ 「いつか使うかも」は空き家放置の最大の言い訳——決断の先送りが生む本当の損失
ステップ2:親のプライドを守る「未来会議」の切り出し方
「家、どうするの?」と正面突破はNG
一番やってはいけないのは「お父さん、この家どうするつもりなん?」と正面から問い詰めることです。親からすれば「自分の財産を狙われているのか」「縁起でもない」と心を閉ざしてしまいます。
第三者のアイデアで「ポジティブな未来」を語る
akimiiは、匿名で実家の写真をのせるだけで「この家をこんなふうに使いたい!」というアイデアが世間から届く仕組みです。そこに届いたアイデアを、実家に帰った時に親に見せてみてください。
「お父さん、うちの古い家、『週末カフェにしたい』って言ってる若者がいるみたいやで。めっちゃええやんね」
こんなふうに第三者の声という"パス"を使って話題を振る。すると親も「自分たちの家には、まだそんな価値があるのか」と嬉しくなり、自然と「じゃあ、将来どうしようか」と話し合う空気が生まれてくるかもしれへんね。
📋 親との「実家の未来会議」進め方の3ステップ
- akimiiで実家の写真を登録して「世間の反応」を集める(匿名・無料)
- 帰省のタイミングで「うちの家、こんな反応があったよ」と見せる——問い詰めるのではなく、一緒に面白がる
- 「もしもの時はどうしたいか」の希望を自然な流れで聞いておく——誰に任せるかを確認
ステップ3:家族の財産を守る「家族信託」という選択肢
親と家の話が少しできるようになったら、次に備えておきたいのが「家族信託」という仕組みです。
「成年後見制度」より「家族信託」が選ばれる理由
家族信託は、親の財産を奪うものではなく、親が大切にしてきた実家を最後まで活かしきるための「家族の思いやり」です。
📋 家族信託を検討する際の相談先
- 📋 司法書士→ 家族信託契約書の作成・不動産登記の変更
- ⚖️ 弁護士→ 複雑な家族関係・法的トラブルの可能性がある場合
- 💴 税理士→ 相続税・贈与税への影響の確認
- 🏠 宅建士(不動産会社)→ 信託後の不動産活用・売却の相談
京都市の空き家バンクと連携して次の一手を考える
実家の未来会議が進んで方向性が見えてきたら、京都市の制度も活用してみてください。
先述の通り、親が認知症になってしまうと空き家バンクへの登録すら難しくなります。「いつかやろう」ではなく、「元気な今のうちに準備だけしておく」——それだけで、将来の選択肢が大きく広がります。
📋 今から動き出すロードマップ
- akimiiで実家の写真を登録——世間の需要を確認して話し合いのきっかけをつくる
- 相続登記の確認・完了——名義が誰か確認(2024年4月から義務化)
- 司法書士に家族信託の相談——親が元気なうちに契約しておく
- 税理士に相続税の試算を依頼——贈与・信託の税務リスクを把握する
- 京都市の空き家バンク登録準備——方向性が決まり次第すぐ動ける状態にする
空き家の活用方法については、こちらも参考にしてください。
→ 空き家 売るべきか貸すべきか|京都オーナーが後悔しない選択
「親に切り出す前に」まず実家の可能性を世間に問うてみませんか。
そこから話し合いが始まることがあります。
akimiiでは写真を登録するだけで活用の提案が届きます。匿名OK・営業電話なし・完全無料。
空き家の可能性を、写真で見てみる →よくある質問
まとめ——「後で話そう」という言葉が、実家を塩漬けにする
📌 この記事のまとめ
- 親が認知症になると実家は売れない・貸せない・壊せない「塩漬けの箱」になる
- 「この家にこんな使い道がある」という第三者の声が、親との話し合いを自然に始めるきっかけになる
- 「家どうするの?」という正面突破より「うちの家、世間ではこんな反応があったよ」という迂回路が有効
- 家族信託は親の財産を奪うものではなく、「家を最後まで活かすための家族の思いやり」
- 家族信託+京都市の空き家バンク登録の準備を元気なうちに整えておくことが最大の防衛策
- まずakimiiで世間の需要を確認→話し合いのきっかけをつくる→専門家に相談という順番で動く
親のプライドを守りながら、実家の未来を明るくする——その小さなパスを今週末から始めてみてください。

穴澤 陸平(あなざわ ろっぺい)
一級建築士 / 宅地建物取引士 / MBA|コトスタイル株式会社・株式会社グッドランプ 代表
コトスタイルとして京都・関西を中心に300件超の店舗開業・空き家活用支援に携わる。建築・不動産・経営の複合的な視点から、空き家の可能性を広げることを専門とする。