
📋 この記事でわかること
鴨川沿いをランニングして頭と身体のリズムを整えるのが私の日課です。汗をかいて事務所に入ると、今日もメールと電話のチェックから一日が始まります。春から初夏にかけてのこの時期、一番切羽詰まった声で飛び込んでくるのがこれです。
「実家の床下から羽アリが出てきました!もう倒壊寸前ですよね?早く解体しないとマズいですか……」
電話口からでも、パニックになっている様子が伝わってきます。
誰も住んでいない古い実家。得体の知れない虫が家を内側から食い荒らしている——そう想像しただけで心臓がバクバクするお気持ち、めちゃくちゃよく分かります。
でも、深呼吸してください。シロアリが出たからといって「即アウト・解体しかない」なんてことは、まずありません。
シロアリ=「即倒壊」という思い込みを捨てる
シロアリの被害がなぜこれほど人を怖がらせるのか。それは「目に見えない」からです。
床下や壁の裏で何が起きているのか、素人にはまったく分からない。「もう柱の中身はスカスカで、次の地震でペチャンコになるんじゃないか」——人間は分からないものに対して最悪の事態を想像して自分を守ろうとします。
その恐怖が「とにかく早く壊して更地にしよう」という極端な決断に走らせてしまうんです。
でも、それが一番もったいない。
被害の実態——どこまで食われるのか
現場のリアルをお伝えします。
シロアリは湿った木材を好みますが、家じゅうの柱を一気に食い尽くすエイリアンではありません。実際に床下を調査してみると、被害は水回りのごく一部に留まっていて、他の柱はまだ頑丈に生きているケースがほとんどです。
シロアリが特に好む場所
🐜 シロアリが特に狙いやすい場所
- 🚰 水回り周辺(台所・風呂・洗面)→ 湿気が多く木材が傷みやすい
- 🏠 床下の土台・大引き→ 地面に近くて湿気がこもりやすい
- 🪟 玄関まわりの木材→ 雨水が入りやすく腐朽が進みやすい
- 🌧 雨漏りしている箇所の周辺→ 常時湿っているため被害が拡大しやすい
逆に言えば、こうした「湿気がこもりやすい場所」でなければ、シロアリが一気に全体に広がることは少ない。
「シロアリが出た=家が終わった」と白黒つける必要はありません。被害の程度を見極めて、そこだけを部分的に直すという選択肢が十分にあります。これが木造建築の懐の深さです。
雨漏りについては、こちらも参考にしてください。
→ 実家の空き家放置が招く本当の危機——固定資産税・雨漏り・買取の出口戦略
駆除・補修費用のリアルな相場
「直せると言っても、何百万円もかかるんでしょ?」——これも大きな思い込みです。
駆除費用は思ったより安い
被害の広さにもよりますが、シロアリ駆除と予防処理の費用は平均して15〜30万円程度で収まるケースが多いです。食べられた柱の補強工事を合わせても、50〜100万円程度で対処できることが多い。
家を丸ごと解体して更地にする100〜300万円以上のコストと比べれば、はるかに現実的な数字です。
「解体するしかない」とパニックになっていた方からすると、「数十万円でこの問題にケリがつく」という選択肢は、かなり現実的に聞こえるんじゃないかと思います。
業者選びは必ず複数社で見積もりを
シロアリ駆除業者も、複数社から見積もりを取ることが大切です。同じ被害状況でも、業者によって価格・工法・保証内容が大きく異なります。
「公益社団法人 日本しろあり対策協会」の登録業者を選ぶと、一定の品質基準が担保されています。大手のリフォーム会社経由ではなく、専門業者に直接依頼する方が費用を抑えられることもあります。
手遅れになる前のセルフチェックと予防
被害は小さいうちに見つけるに越したことはありません。空き家でも、少し気をつけるだけでサインに気づくことができます。
📋 シロアリ被害の早期発見チェックリスト
- ☑️ 床を歩くと「ギシギシ」「フワフワ」と嫌な沈み方をしないか
- ☑️ 柱を軽くコンコンと叩いて「ポコポコ」と空洞音がしないか
- ☑️ 春〜初夏に羽アリの死骸が窓際や床下付近に落ちていないか
- ☑️ 水回りや床下の木材が黒ずんで柔らかくなっていないか
- ☑️ 「蟻道(ぎどう)」と呼ばれる土の通り道が基礎や壁にないか
一番の予防策は「月に一度、風を通すこと」
シロアリは湿気と暗闇が大好きです。逆に言えば、乾燥していて風通しのいい場所は苦手。
月に一度でも実家に行って窓を開けて空気を入れ替えるだけで、シロアリにとってはすごく住みにくい環境になります。特に梅雨前後の5〜7月は要注意の時期です。
管理が難しい遠方の空き家の場合は、管理代行サービスを使うのも一つの手です。月数千円〜数万円で定期的な見回り・換気・郵便物の回収をしてもらえるサービスがあります。
焦って解体すると税金で首を絞める
シロアリの恐怖から逃れたい一心で「もう直すのも面倒だから解体しよう」とするのは、実は一番危険な罠です。
家を壊して更地にすると、それまで適用されていた「住宅用地の特例」という固定資産税の優遇が外れ、翌年から税負担が大きく増えます。解体費用100〜300万円を払った上に、毎年高い税金が来る。
虫の恐怖は消えても、今度は毎年やってくる税金に頭を抱えることになりかねません。
不動産の決断において「焦り」や「恐怖」から来る行動は、たいてい家計の首を絞める結果につながります。
解体を検討する場合は、自治体の解体補助金の確認も忘れずに。京都市をはじめ多くの自治体で老朽危険家屋に対する補助制度があります。解体前に必ず窓口に確認してください。
空き家を放置・解体する前に知っておくべきことはこちら。
→ 空き家活用で使える補助金のリアル——もらえる条件・申請のタイミング・やってはいけない罠
直した後の「余白」をどう活かすか
シロアリを駆除して、痛んだ部分を最低限補修した。さあ、その後どうするかです。
「シロアリが出たような古い家なんて……」と卑下する必要はありません。直した後の家は、DIY好きの若者やクリエイターにとって、自由に色を塗れる「余白」に映ることがあります。
akimiiは、空き家の写真を匿名で登録するだけで、「この家でこんなことをやりたい」という提案が世間から直接届くサービスです。
「シロアリ被害があった古い家」という現実を正直に伝えながら、「補修済み・現状のままDIY可能」という条件で出せば、それを面白がってくれる使い手がいる可能性があります。
空き家の活用方法については、こちらも参考にしてください。
→ 空き家の活用方法7選——売る・貸す・マッチング・解体を徹底比較
直した後の家に、新しい可能性がある。
まず世間の声を聞いてみませんか。
akimiiでは写真を登録するだけで活用の提案が届きます。匿名OK・営業電話なし・完全無料。
空き家の可能性を、写真で見てみる →よくある質問
まとめ——シロアリは「向き合うきっかけ」
実家でシロアリを見つけた時のショックは計り知れません。でも「見なかったことにする」のも「焦って壊す」のも、どちらも家と家計にとってはマイナスです。
📌 この記事のまとめ
- シロアリが出ても「即倒壊・即解体」ではない。被害は部分的なことがほとんど
- 駆除・補修費用は15〜100万円程度。解体(100〜300万円〜)より安く済むことが多い
- 業者は複数社から見積もりを取り、しろあり対策協会の登録業者を選ぶ
- 月一度の換気が最強の予防策。梅雨前後は特に注意
- 焦って解体すると固定資産税増加という二重苦になるリスクがある
- 直した後の家は、akimiiで世間の需要を確認してから方向を決める
「シロアリが出たことは、実家の未来と向き合う良いきっかけだ」——そんなふうに視点を変えてみてください。まずプロに調査を頼んで被害の状況をフラットに把握する。絶望的に思えた家から、思わぬ新しい物語が始まるかもしれへん、と私は思っています。
直した後の実家に、誰かの夢が待っているかもしれない。
まず可能性を知ることから始めませんか。
akimiiは写真を登録するだけで活用の提案が届くサービスです。匿名OK・営業電話なし・完全無料。
無料で空き家を登録してみる →
穴澤 陸平(あなざわ ろっぺい)
一級建築士 / 宅地建物取引士 / MBA|コトスタイル株式会社・グッドランプ株式会社 代表
コトスタイルとして京都・関西を中心に300件超の店舗開業・空き家活用支援に携わる。建築・不動産・経営の複合的な視点から、空き家の可能性を広げることを専門とする。