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空き家活用の相談、どこにすればいい?宅建士が教える正しい相談先と進め方

2026年5月20日

空き家活用の相談をする前に知っておきたいこと、夜の路地と灯りのある家のイメージ

空き家活用の相談が、なかなか進まへん理由

正直に言います。

「空き家活用の相談」って、動き出すまでがいちばんしんどい

んですよね。

私、これまで20件以上の空き家活用支援に関わってきましたが、オーナーさんとお話しするたびに思うことがあります。みなさん、「相談したい気持ちはある」んです。でも、なぜか動けない。先日も、京都市内に築60年の町家を持つオーナーさんから連絡がありました。「親の家なんですが、もう10年以上空けてまして。どうしようか悩んでます」というご相談でした。

話を聞いていくと、こんな言葉が出てきました。

「不動産会社に連絡したら、すぐ売れ売れってなりそうやし」

「空き家バンクって登録したら、変な人が来そうで」

「でもこのまま放置してたら、税金とか管理費が大変で」


これ、すごく正直な気持ちやと思います。

空き家を前にして動けへんのは、知識がないからだけじゃない。相談すること自体への不安があるからです。「相談したら、売却に向けて動き出してしまうんちゃうか」という恐怖感みたいなもんです。

でも、実はその思い込みが、いちばんもったいない。この記事では、空き家活用の相談をどう進めればいいか、相談先の選び方から準備することまで、現場目線でお伝えします。

一級建築士・宅建士として、京都・関西エリアで300件超の店舗開業・空き家活用支援をしてきた立場から、率直に話しますね。

空き家活用の「相談先」、実は種類がある

まず、「空き不動産活用の相談」と一口に言っても、相談先によって得意なことが全然違います。ここをわかってないと、「行ったけど期待と違った」ってなりやすいんです。

主な相談先を整理しましょう。

相談先
得意なこと
注意点
不動産会社
売却・賃貸の仲介、査定
成約に向けて話が進みやすい
空き家バンク(行政)
低コストで登録・マッチング
活用提案より登録・紹介中心
市区町村の窓口
制度・補助金の情報提供
個別の活用提案は弱い
宅建士・建築士
法的・構造的な可能性の整理
個別相談のため費用がかかることも
民間マッチングサービス
活用アイデアの発掘・使い手探し
対象エリアや用途が限定的な場合も

どれが正解、というわけではありません。「何を知りたいか」「今どの段階か」によって、最初に行くべき場所が変わります。

たとえば、

  • 「売却価格を知りたい」→ 不動産会社
  • 「どんな使い方ができるか可能性を知りたい」→ 民間マッチングサービスや建築士
  • 「補助金や制度を知りたい」→ 市区町村の窓口や空き家バンク
  • 「法律や建物の状態確認をしたい」→ 宅建士・建築士

重要なのは、「まだ決めていない」段階で、いきなり不動産会社に行くのはリスクがあるということです。

不動産会社は売買・賃貸の仲介が仕事ですから、自然と「売るか貸すか」の方向に話が進みます。それはおかしなことやないんですが、まだ可能性を全部見ていない段階で決断を迫られると、後で「あ、あんな使い方もあったな」ってなりやすい。

サッカーで言うと、キャプテンを決める前に全員のポジションを確認する、みたいな話です。先にオプションを全部出してから判断したほうが、ゲームプランが組みやすいんです。

相談する前に、自分で整理しておくこと

相談をスムーズに進めるために、事前に整理しておくと助かることがいくつかあります。全部できなくてもいい。でも、これだけ頭に入れておくと、相談のクオリティがぐっと上がります。

① 建物の基本情報を把握する

築年数、構造(木造・鉄骨・RC)、広さ(延床面積・土地面積)、接道状況、現在の登記名義人。これだけで相談の話が全然違います。

特に「誰の名義か」は重要です。相続が終わっていなくて名義が故人のままのケース、けっこうあります。名義が複数人にまたがっている場合は、活用を決める前に相続登記や家族間の合意形成が必要になることもあります。

② 今の状態を写真で残しておく

外観・内部・水回り・屋根・庭。スマホで撮るだけでOKです。現地を見てもらう前に写真を共有することで、専門家が事前に「この建物はどんな使い方に向いているか」をある程度判断できます。

写真は余計な角度は要りません。入口、リビング、台所、トイレ・浴室、各部屋、外観(前面・裏・隣地との距離)を1枚ずつ撮るだけで十分です。

③ 「どうしたくないか」を言語化しておく

「どうしたいか」が決まってない人でも、「どうしたくないか」は意外とはっきりしてます。

  • 「知らない人に住んでほしくない」
  • 「壊したくない」
  • 「安く叩き売りたくない」
  • 「近所に迷惑をかけたくない」

これを言えると、相談相手も「じゃあ、この方向は外して考えましょう」って話ができます。「したくないこと」を整理するのが、空き家活用相談の第一歩とも言えます。

④ 家族間の温度感を確認しておく

空き家問題で実際に多いのが、兄弟間で意見が割れて話が止まるケースです。「長男は売りたい、次男は残したい」みたいなやつ。これ、不動産の問題じゃなくて、関係性の問題なんです。

相談前に「家族でどこまで合意できているか」を確認しておくと、専門家への相談もスムーズになります。まだ話し合えていない場合は、そのまま正直に「家族内で方向が定まっていない」と伝えればいい。それでも相談は受け付けてもらえます。

📝 相談前チェックリスト

  • ☑️ 建物の築年数・構造・面積を把握している
  • ☑️ 登記名義人を確認している
  • ☑️ スマホで建物内外の写真を撮ってある
  • ☑️ 「したくないこと」を3つ言語化できる
  • ☑️ 家族間での温度感を確認している(または一人で判断できる)
  • ☑️ 相談の目的(可能性を知りたい/価格を知りたい/使い手を探したい)を絞っている

空き家活用の主な選択肢と、向き不向き

相談の前に、そもそも「空き家活用にはどんな選択肢があるか」を整理しておきましょう。ここを知っておくと、相談先に行ったときに「それは知ってます」「それを詳しく聞きたいです」と言えるようになります。

① 売却する

管理の手間がゼロになり、現金化できる。遠方に住んでいて管理が難しい場合や、家族内で残す意向がない場合は、現実的な選択肢になります。

ただ、売ったらその家との関係は終わりです。「売って後悔した」という話は、珍しくありません。価格だけじゃなく、「このまま売っていいのか」という感情的なモヤモヤを解消してから動いたほうが、後悔が少ない。

まずは査定を取って、価格を知るのは大事です。でも査定=売る決定、ではありません。知るだけなら、手は縛られません。

② 賃貸として貸す

家を持ちながら収益を得られる方法です。住居として貸すのが一般的ですが、最近は小さな店舗・アトリエ・教室・事務所・地域の拠点など、用途が広がっています。

特に京都では、古い建物の雰囲気自体が価値になります。新築テナントには出せない味わいがある。路地の奥にある静けさ。昔ながらの間取りが生む余白。そういうものを求めている人が確実にいます。

賃貸の場合、気になるのは「貸したあとのトラブル」ですよね。家賃未払い、原状回復、契約解除のトラブルが心配という声をよく聞きます。これは、契約形態と相手方の選定で大きく変わります。事業者に貸す場合と個人に住居として貸す場合では、リスクの性質がまるで違いますので、宅建士に相談しながら進めることをお勧めします。

③ 空き家バンクに登録する

行政が運営する空き家バンクは、売買・賃貸の両方に対応している場合が多く、登録・利用が無料なのが大きなメリットです。

ただ、空き家バンクのデメリットとして、「登録したけどなかなか決まらない」「問い合わせが来ても活用につながらない」という声も多い。活用の提案力や、使い手のマッチング精度は、民間サービスに比べると弱い面があります。

行政のバンクはあくまでも「情報の場」として活用して、具体的な活用提案やマッチングは別の窓口と並行して使うのが現実的です。

④ 店舗・アトリエ・地域拠点として活かす

これ、私が個人的にいちばん面白いと思っている活用法です。

小さなカフェを始めたい人。工房を持ちたい作家。地域に開いた教室をつくりたい人。予約制のサロンを開きたい人。そういう"やりたいことがある人"にとって、空き家はすごく大きな可能性になります。

きれいに整いすぎたテナントビルよりも、少し余白のある古い家のほうが、自分らしい場をつくれることがある。実際に私が関わってきた事例でも、「築50年の町家を改修してカフェにした」「元蔵をアトリエに変えた」というケースで、その古さや余白がそのまま魅力になっているものがあります。

持ち主にとっては「手放すしかない」と思っていた家が、誰かの挑戦の場所になる。地域にとっては、暗かった一角にもう一度灯りがともる。これが、空き家活用のいちばん奥にある話やと思います。

詳しくは空き家活用の方法7選もあわせて読んでみてください。

⑤ 解体して更地にする

古くて改修費がかかりすぎる場合や、土地として売却・活用したい場合の選択肢です。ただ、解体費は100〜300万円程度かかることが多く、更地にしても固定資産税が上がるケースもあります。

解体を検討する前に、「そのままで使い手がいないか」を一度確認してみる価値はあります。空き家の活用需要は、思っているより広がっています。

📌 活用の向き不向きまとめ

  • 管理から解放されたい → 売却または長期賃貸
  • 家を残しながら収入が欲しい → 賃貸・店舗転用
  • まず可能性を知りたい → 民間マッチング・建築士相談
  • 家族間で決まっていない → まず情報収集・整理から
  • 京都・関西エリアで地域に役立てたい → 店舗・アトリエ・地域拠点転用

京都で空き家活用を考える場合の注意点

京都の場合、全国と少し事情が違う部分があります。

京都市の「空き家税」は2030年度から課税開始予定

正式名称は「非居住住宅利活用促進税」です。居住者のいない住宅を対象として、2030年度(令和12年度)から課税開始が予定されています。

詳しい制度概要は空き家の税金についての解説記事にまとめていますが、ポイントは「放置していると、コストが増える方向に動く」ということです。

課税対象になるかどうか、免除条件があるかどうかは、物件の状況や活用の方向性によって変わります。「まだ先の話やし」と放置するのではなく、今から情報を集めておくほうが、対応の選択肢が多く残ります。

京都は「古さ」が強みになる市場

全国の多くのエリアでは、古い物件は「安く売るしかない」になりやすいです。でも京都は違う。

京都の古い家は、それ自体がブランドになることがあります。観光客・移住者・クリエイター・飲食業者など、「京都らしい空間で何かしたい」というニーズが全国的にも高い。実際に、古い町家や蔵を改修して、カフェや宿泊施設、ギャラリーとして活用している事例が京都には多くあります。

つまり、「古くて売れへんと思っていた家」が、見せ方次第でむしろ需要の高い物件になる可能性があります。これは建築士の視点で言えば、構造・法規・改修コストを見た上で判断するべき話です。素人目線だけで「古いから無理」と決めてしまうのは、もったいない。

京都は「景観条例」や「高度地区」が厳しい

店舗や宿泊施設として活用する場合、京都は景観条例の制限がかなり細かいです。外観の色彩、看板のデザイン、増改築の制限など、エリアによっては想像以上に縛りがある。

建物の活用可能性を判断するときは、法規上の制限を確認することが欠かせません。これは、一般の不動産会社よりも、建築士・宅建士の視点が必要になるポイントです。

「まだ売るか貸すか決めていない」段階の相談先として

ここまで読んでくれた方に、少し正直に話します。「空き家活用の相談」って、実は一回で全部決めようとしなくていいんです。

不動産の世界はどうしても「結論に向けて動かす」文化があります。査定に行ったら売るかどうか迫られる。空き家バンクに登録したら「問い合わせが来ました、どうしますか」という話になる。でも、本来は「可能性を知る」段階と「決める」段階は、別々でいい。

私が考える、空き家活用の正しい順番はこうです。

  1. 1.その家に、どんな使い道があるかを知る(可能性の棚卸し)
  2. 2.家族や関係者と方向性を話し合う(意思決定の準備)
  3. 3.具体的な相談先を絞って、動く(実行)


ステップ1の「可能性を知る」段階に適しているのが、民間の空き家マッチングサービスです。

akimiiは、空き家の写真を登録するだけで、その場所に合った活用アイデアや使い手の可能性を届けるサービスです。売却や賃貸の手続きを進めるサービスではなく、「まず可能性を見る」ための場所として設計されています。

匿名での登録も可能で、営業電話や契約への誘導もありません。「まだ相談するほどではないけれど、そろそろ考えたい」という段階から使えます。

建築・不動産・経営、この3つの視点を持つ宅建士・一級建築士が関わっているので、「この家はどんな用途に向いているか」「法規上の制限はどうか」「改修費の大まかな感覚はどうか」という、ちょっと専門的な目線での活用提案が届きます。

「あなたの空き家が誰かの夢を支える」というのは、akimiiのコンセプトです。大げさな言葉に聞こえるかもしれへんけど、実際にそういうマッチングが起きている。売れなかった家が、使い手と出会って価値を取り戻す瞬間を、私は何度も見てきました。

売るか、貸すか、残すか。まだ決めきれない空き家こそ、まずは可能性を見てみませんか。

akimiiでは、空き家の写真をもとに、その場所に合った活用アイデアを考えることができます。「相談するほどではないけれど、そろそろ考えたい」という段階からでも大丈夫です。

空き家の可能性を、写真で見てみる →

よくある質問

Q. 空き家活用の相談は、どこにすればいいですか?

目的によって違います。「売却価格を知りたい」なら不動産会社、「どんな活用ができるか可能性を知りたい」なら建築士や民間マッチングサービス、「補助金・制度を知りたい」なら市区町村の窓口が向いています。まだ方向が決まっていない段階なら、まず民間マッチングサービスや建築士に相談するのがおすすめです。

Q. 相談したら、すぐ売却の話になりませんか?

不動産会社に相談した場合は、売買・賃貸の仲介に向けて話が進みやすいです。一方、建築士や民間マッチングサービスは、売却を前提としていないので、可能性の整理から入ることができます。相談先を選ぶことで、話の方向はかなり変わります。

Q. 家族間でまだ話がまとまっていなくても相談できますか?

できます。むしろ、まとまっていない段階からの情報収集が大切です。「家族内でどんな選択肢があるかわからない」という状態のまま相談すると、専門家も「まずこの選択肢を知りましょう」という整理からスタートしてくれます。正直に「まだ家族で方向が決まっていない」と伝えることが大切です。

Q. 空き家を店舗に活用できるか、どうすればわかりますか?

建物の構造・法規・接道・用途地域など、複数の要素を確認する必要があります。スマホで写真を撮ってもらうだけで、ある程度の可能性判断ができる場合もあります。akimiiでは写真登録だけで活用提案を受けられるサービスを提供しています。

Q. 京都の古い家は、活用できますか?

可能性は高い方です。京都は「古さ」が価値になるエリアで、カフェ・宿泊施設・ギャラリー・アトリエなどの活用事例が多くあります。ただし、景観条例や高度地区の制限、建物の耐震性などの確認が必要です。建築士・宅建士の視点で一度評価してもらうことをおすすめします。

Q. 空き家活用の相談は無料でできますか?

相談先によります。市区町村の窓口・空き家バンクは基本無料です。民間マッチングサービスのakimiiも登録・相談は無料です。不動産会社や建築士への相談は、内容によって費用がかかる場合があります。まず無料の窓口で情報を集め、専門的な判断が必要なタイミングで有料相談を検討するのが現実的です。

まとめ|空き家活用の相談、最初の一歩が全部変える

ここまで読んでくれてありがとうございます。

空き家活用の相談で、いちばん大事なことを最後にまとめます。

  • 相談先によって、話の方向が全然違う。最初に行く場所を間違えないことが大事。
  • 「まだ決めていない」段階での相談は正解。決める前に可能性を知ることが、後悔を防ぐ。
  • 相談前に「したくないこと」を言語化しておくと、話がスムーズになる。
  • 京都では古さが強みになる。景観条例などの制限確認は建築士・宅建士に頼む。
  • 空き家バンクと民間マッチングは別物。目的に合わせて使い分ける。
  • akimiiは「まだ決めていない」段階から使える、可能性を知るための相談窓口。

空き家を前にして動けない人の多くは、情報不足ではなく、「相談すると売却に向けて進んでしまう」という怖さを持っています。でも実際は、相談先を選べば、可能性を知るだけで終わっていい。売ると決めなくていい。方向が決まってから次の専門家に繋げばいい。

その家が「誰かの夢の場所」になる可能性は、あなたが思っているより高いかもな、と私は思っています。

まずは一歩、踏み出してみてください。

「そろそろ、うちの空き家のことも考えないと」

そんな段階からでも大丈夫です。akimiiは写真を登録するだけで、活用の可能性が届くサービスです。営業電話・契約強制はありません。匿名での登録もOKです。

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穴澤陸平

穴澤 陸平(あなざわ ろっぺい)

一級建築士 / 宅地建物取引士 / MBA|コトスタイル株式会社・グッドランプ株式会社 代表

京都・関西を中心に300件超の店舗開業・空き家活用支援に携わる。空き家活用では20件以上の支援実績。建築・不動産・経営の複合的な視点から、活用の可能性を広げることを専門とする。

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