
はじめに:空き家を活かすという選択肢を持つ
京都で長く建築と不動産に関わってきた立場として、空き家をどうすればいいのかという相談を日々いただきます。 特に最近は「空き家税」が導入されたこともあって、「今後どうするべきか分からない」と感じておられる方も増えました。
この記事では、京都市が運営する公的なマッチング制度「京都安心すまいバンク」を使って、空き家の売却・賃貸をスムーズに進めるためのステップと書類について、できるだけ分かりやすく丁寧にまとめてみました。
「不動産のことって、なんか難しそう」そう思う方こそ、読み進めていただけるとうれしいです。
1. 京都市空き家バンク(京都安心すまいバンク)ってどんな仕組み?
京都市と登録された専門家が連携して、空き家所有者と物件を探している人をつなぐマッチングサービスです。
この制度がありがたいのは、個人だけでやり取りするのではなく、間にプロが入ってくれる安心感があるところです。
実際に私も、何件もこの制度で再生された物件を見てきました。築50年の町家が、若い夫婦の住まいに変わったり。空き家が、地域のパン屋さんになったり。いずれも、「誰かにとっての可能性」へと変わった事例ばかりです。
ポイントは、売却だけでなく賃貸でも登録できるということ。将来使う予定がある場合でも、「それまでの間、誰かに住んでもらう」という選択ができるんです。
「もう使うことないかも」と思ったその家。もしかしたら、次の誰かのスタート地点になるかもしれません。
2. 登録の流れ:思ったよりも親切で、しっかりしています
まずは「相談」から始まります。これ、いきなり書類提出とかじゃなくて、ちゃんと顔の見える関係で始められるのがいい。
京都安心すまいバンクの窓口(075-366-4750)に電話をして、「ちょっと話だけ聞きたいんやけど」でも大丈夫。 平日の午前と午後に時間が区切られてる(平日9:00~11:30/13:00~16:30))ので、まずは気軽に聞いてみてください。
そこからは、ざっくりこの10ステップです:
- 電話や窓口で事前相談
- 必要書類の準備と提出
- 専門家による現地調査・目視確認
- 登録申請書の記入・提出
- 京都市による内容確認・登録審査
- 物件情報の掲載(京都市・全国版空き家バンク)
- 問い合わせや内覧希望者への対応
- 契約交渉(売買・賃貸)
- 成約後の契約書作成・引渡し
- 必要に応じてサポート継続
正直、「ややこしそう…」と思うかもしれません。でも、順を追えばそこまで複雑ではないし、ちゃんとサポートがあります。
「一人で全部やらなあかんわけやない」。それがこの制度のいちばん良いところだと、私は思ってます。
3. 必要書類ってどんなもの?ちゃんと準備すれば怖くない
書類と聞くと、ちょっと身構えるかもしれません。でも大丈夫。内容はシンプルです。
例としてはこんな感じ:
- 登録申請書(物件情報登録申込書)
- 本人確認書類(免許証など)
- 登記簿謄本
- 建物・土地の図面
- 物件写真
- 固定資産税納税証明書
- 現況報告書(修繕履歴など)
- 付帯設備一覧
- 委任状(代理人の場合)
- その他、京都市が指定する書類(※詳細は窓口で要確認)
これらを準備することで、「この物件はこういう状態ですよ」とちゃんと伝えることができます。
不思議なもので、こうして書類を整えていくと、持ち主の気持ちも少しずつ「手放す準備」になっていく気がします。
4. 登録にあたって気をつけたいこと
大きく3つあります:
現地調査はプロがしっかり(専門家による現地調査が必須)やってくれる(信頼性アップ)
相談や登録は無料。ただし契約が成立したら不動産の仲介手数料などがかかる。
登録後も希望すれば、専門家のサポートは続けてもらえる
つまり、「試しに相談」もできるし、「本気で活用」もできる。そのあいだのグラデーションを許してくれる仕組みなんです。
実際に、「使うかまだ迷ってるけど…」という方も相談されてますし、無理に進められることもありません。
人にとってはただの空き家でも、持ち主にとっては家族の思い出が詰まった場所やったりしますから。そこ、ちゃんと大事にしてくれる制度です。
5. 相談・サポート窓口はどこ?困ったときはすぐ頼れる
以下の3つが頼れる窓口です:
京都安心すまいバンク窓口(物件登録・交渉全般)
京都市空き家相談窓口(売却・賃貸などの相談)
京(みやこ)安心すまいセンター(住まい探し・マッチング支援)
参照(ページなかほど):京都市版空き家バンク「京都安心すまいバンク」 | 京都市空き家対策室 : https://akiya.city.kyoto.lg.jp/ansuma-bank/
初めての方は「どこに聞いたらええかわからん…」となると思います。 私もそうでした。だからこそ、「まずは電話一本かけてみてください」とお伝えしたい。
不安のほとんどは、誰かと話すことで小さくなります。制度は人が使ってこそ。 しんどいとき、めんどくさいとき、誰かに頼ってええんです。
おわりに:空き家には、次の人の時間が流れはじめる
空き家をどうするかって、けっこう重たいテーマです。 そこに思い出があったり、親の代からの時間が流れていたり。
けれど、だからこそ。「いま、次の人に渡してもええかもしれん」。そんな気持ちになったとき、ちゃんと相談できる場所があるというのは、心強いものです。
この京都市の制度は、そういう「心の準備」に寄り添ってくれるもんやと思っています。
よかったら、気になるところから少しずつ見てもらえたら。
私もまた、どこかでお手伝いできたらうれしいです。
参照
空き家バンク利用手順|空き家バンク|佐用定住・移住支援サイト : https://www.town.sayo.lg.jp/cms-sypher/teijyu/akiya/process.jsp
トップページ - 京都府京都市空き家バンクサイト : https://kyoto-c26100.akiya-athome.jp/
京都市:京都市版空き家バンク「京都安心すまいバンク」について : https://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/page/0000340487.html