
📋 この記事でわかること
6月もいよいよ終盤ですね。私が住んでいる京都・北大路の鴨川沿いも、梅雨特有のじめっとした空気に包まれています。朝は、いつものようにランニングをして心と身体のリズムを整えるのが私の日課です。
今日も事務所に、こんな切実な相談が届きました。
「親の家を相続したんですけど、古くて誰も住めないし、毎年の固定資産税ばかりかかって……。完全に『負動産』なので、早く手放してしまいたいんです」
管理の手間と税金のプレッシャーに押しつぶされそうになり、家をお荷物のように感じてしまう——そのお気持ち、現場に立っている私にも痛いほどよく分かります。
でも、ちょっと待ってください。空き家は決して忌み嫌うべき問題ではありません。たった一つの視点を持つだけで、お金を吸い取る「負動産」が、利益を生み出す「富動産」に化けるかもしれへんのです。
一級建築士・宅建士として、コトスタイルで京都・関西の店舗出店・空き家活用支援に関わってきた立場から、マインドセットを少し変えるだけで空き家の見え方が180度変わる「現場のリアル」をお伝えします。
早く手放したい!その焦りが「負動産」をつくる
「誰も住んでいないのに、なんでこんなにお金がかかるの?」——空き家を持つと、誰もが一度はこの壁にぶつかります。
毎年の税金と草むしりという苦行
春になれば固定資産税の納付書が届き、夏になれば庭の雑草が驚くべきスピードで伸びていく。お盆休みに帰省して汗だくで草むしりをし、台風が来れば「屋根が飛んで近所に迷惑をかけないか」と怯える日々。それはまるで、穴の開いたバケツに水を注ぎ続けるような、ゴールの見えない苦行ですよね。
⚠ 「負動産」と決めつけるまでの典型的なスパイラル
- 固定資産税の請求が届く→「払うだけの存在」と感じる
- 雑草・管理の手間が増える→「面倒なお荷物」と感じる
- 「古い家=売れない・貸せない」と思い込む
- 「もう手放すしかない」と極端な結論に飛びつく
この見えないコストと精神的な負担が重なると、真面目な方ほど「早くなんとかしなきゃ」と焦り、「もう手放すしかない」という極端な結論に飛びついてしまいます。
価値がないというのは「あなたの思い込み」かも
「こんなボロボロの家、どうせ誰も買ってくれないし、貸すこともできない」——そうやって、自分自身で実家の価値を「ゼロ」だと決めつけていませんか?
たしかに、ピカピカの新築マンションと比べれば見劣りするのは事実です。でも、「古い=価値がない」というのは、あくまで一般的な不動産の物差しで測っただけの思い込みに過ぎません。
サッカーで言えば、ドリブルが苦手な選手を見て「この選手は使えない」と見切りをつけているようなものです。ドリブルがダメでも、周りを活かすパスがめちゃくちゃ上手い選手かもしれませんよね。
空き家もまったく同じです。白黒つけて「価値がないから捨てる」と決めてしまう前に、まずはその家が持っている本当のポテンシャルをフラットに見つめ直すことが大切なんやと思います。
マインドセットを180度変える「グラデーション思考」
では、どうすれば「負動産」を「富動産」に変えることができるのでしょうか。その最大のコツは「完璧に住める家じゃなきゃいけない」という常識を捨てることです。
「住む家」ではなく「自由に使える余白」として見る
世の中には、すべてが整った綺麗な部屋よりも「少し古くてもいいから、自分の好きにいじれる空間が欲しい」と思っている人たちが確実に存在します。週末に思い切りDIYを楽しみたい若者や、絵の具や木くずで汚れるのを気にせず作品づくりに没頭したいクリエイターたちです。
あなたにとって「古くて手入れが行き届いていない弱点」は、彼らにとっては「自分の思い通りに空間をデザインできる最高の余白」に反転します。この見方のグラデーションを持てるかどうかが、空き家活用の大きな分かれ道になるんです。
ボロボロの家がDIY好きの若者の宝物になった日
ここで、私が現場で実際に見たあるケースをお話しします。
築50年を超える古い戸建てを相続した方がいました。水回りも古く、壁紙も剥がれかけており、リフォームするには数百万円がかかる状態でした。所有者さんは「こんな家、絶対誰も借りない」と半ば諦めていたんです。
「現状のまま自由にDIY」が生んだ逆転
そこで私たちは、高いお金をかけて綺麗に直すのをやめ、「現状のままで、自由にDIYしていいですよ」という条件で貸し出すことにしました。
すると、「こういう味のある家を自分たちで好きに直してみたかったんです!めっちゃええやん!」と、DIY好きの若いカップルがすぐに入居を決めてくれたのです。
この実例の「逆転のポイント」
- ✅ 大家さんのリフォーム費用:1円もかかっていない
- ✅ 入居者が自腹で材料を買い、楽しみながら家を直してくれている
- ✅ 大家さんは毎月確実な家賃収入を得ている
- ✅ 「直さなければ貸せない」という思い込みを外しただけで実現した
大家さんは1円もリフォーム費用を出していません。それどころか、入居者さんが自腹で材料を買い、楽しみながら家を少しずつ綺麗に直してくれているのです。お荷物だった空き家が、一切の持ち出しなしで毎月確実な家賃を生み出す「富動産」に変わった瞬間でした。
DIY型賃貸の詳しい進め方については、こちらも参考にしてください。
→ 空き家の「現状貸し・スケルトン渡し」がウケる理由——直すお金がなくても借り手が見つかる逆転の発想
「知覚」が変われば、価値も変わる——同じ家でも見る人によって違う
不動産の世界では、客観的な築年数や設備の新しさよりも、「見る人がその家をどう認識するか」の方が現実を左右することがあります。
同じ家が、見る人によって全く違う評価になる
同じ「築50年・水回りが古い家」でも
- 🏠 「綺麗な家を探している人」が見ると→「直さないと住めない、価値がない家」
- 🔧 「DIYしたい若者」が見ると→「自分好みに変えられる夢のキャンバス」
- 🎨 「制作場所を探すクリエイター」が見ると→「汚れを気にせず使える理想のアトリエ」
- ☕ 「古民家でカフェを開きたい人」が見ると→「雰囲気そのものが商品価値になる物件」
あなた一人の判断で「価値がない」と決めてしまうのは、見る人を一種類に限定しているからかもしれません。視点を変える人を増やすほど、その家の本当の価値が見えてきます。
空き家バンクに「タダで」と駆け込む前に
- 「とはいえ、うちの家でそんな上手い話があるとは思えない……」
- 「やっぱり面倒だし、京都の空き家バンクにでも登録して、タダ同然で手放そうかな」
そうやってまた立ち止まってしまうお気持ちもわかります。でも、相手のプレッシャーに焦って、自分からボールをコートの外に蹴り出してしまうのはもったいないですよね。
活用次第で金のなる木に成長するかもしれない資産を、素人判断で手放してしまうのは、あまりにももったいないことです。
世間の声を聞いて、家のポテンシャルをテストする
大きな決断を下す前に、まずは家の「余白」を世間に見せて、どんな反応があるかテストしてみませんか。
akimiiは匿名でご実家の写真を数枚のせるだけでOKです。「直すお金はないけれど、現状のままで使いたい人はいませんか?」と正直に書いてみる。
すると「それなら週末の隠れ家として使わせてほしい」「アトリエのハコとして探してました!」といった、あなたの想像をはるかに超えたアイデアが世間から無料で届きます。
プロの意見を聞く前に、まずは世間のリアルな需要を知っておく。それが、大切な実家を安く買い叩かれないための最強の防具になるんです。
空き家を売るか貸すか迷っている方はこちらも参考にしてください。
→ 空き家 売るべきか貸すべきか|京都オーナーが後悔しない選択
「負動産」と決める前に、まず世間にどう見えているか
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まとめ——視点を変えるだけで、負動産は富動産になる
「税金ばかりかかるし、早く手放したい」——その焦りと、古い家に対する「価値がない」という思い込みが、あなたの大切なご実家を「負動産」にしてしまっています。
📌 この記事のまとめ
- 「税金ばかりかかる」という焦りが「負動産」という思い込みを生む
- 「古い=価値がない」は一般的な不動産の物差しで測った思い込みに過ぎない
- 「住む家」ではなく「自由に使える余白」として見るグラデーション思考が転換の鍵
- 実例:リフォーム費用ゼロで「DIY自由」の条件にしただけで入居が決まったケースがある
- 同じ家でも見る人によって評価が全く異なる——見る人を一種類に限定しない
- akimiiで世間の声を聞いてから、空き家バンク登録・賃貸・売却の方向を決める
白黒つけて絶望する前に、まずはグラデーションの中でどんな使い道があるかを探ってみてください。今週末、まずは実家に風を通しに行ったついでに、スマホで写真を何枚か撮ってみる。その小さなアクションが、あなたの家計を救い、見放されていた実家に新しい未来の光を当てる確実なスタートラインになるって、私は強く思っています。
見方を変えるだけで、負動産が富動産になるかもしれへん。
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穴澤 陸平(あなざわ ろっぺい)
一級建築士 / 宅地建物取引士 / MBA|コトスタイル株式会社・株式会社グッドランプ 代表
コトスタイルとして京都・関西を中心に300件超の店舗開業・空き家活用支援に携わる。建築・不動産・経営の複合的な視点から、空き家の可能性を広げることを専門とする。