京都の空き家物件とリアルな現場レポ 空き家の未来をつくるアイデア集

【実録】京都で空き家を「0円で差し上げます」と言う前に。手放すはずの家が収益物件に変わった現場レポ

「0円で差し上げます」

先日、ある所有者さんとの打ち合わせで、この言葉が出てきました。

京都市内に実家の戸建てを持っているその方は、「売れなかった。貸そうとしても反応なかった。もう誰かにタダで引き取ってもらえたら、それでいい」と言っていた。

気持ちはわかります。管理費、固定資産税、草刈り、雨漏りの点検……使ってもいない家のために、時間とお金が出ていく。精神的にも消耗する。「もうゼロでいいから手放したい」という気持ちになるのは、当然のことだと思います。

ただ、私はこのとき正直にこう言いました。

「ちょっと待ってください。その家、ほんとにゼロの価値しかないですか?」

今日は、「0円で差し上げます」と検索する前に知っておいてほしいことを、実際に「売れなかった家が収益物件になった」現場のリアルを交えながら話していこうと思います。

📋 この記事でわかること

  • 「0円物件マッチング」の仕組みと、使う前に知っておくべき注意点
  • 再建築不可・ボロボロの家でも「テナント需要」がある理由
  • 売れなかった高山寺の戸建てが「焼き鳥店」に生まれ変わるまでの実話
  • 費用ゼロで「手放す以外の選択肢」を見つける方法

「0円で差し上げます」と検索する前に知っておきたいこと

まず、正直に言います。

「0円で差し上げます」「タダで譲ります」という選択肢が、完全に間違っているわけではありません。実際にそういう形で物件が動くことはあるし、費用や手続きの問題をクリアできるなら、ひとつの有効な手段です。

ただ、「0円で手放すしかない」と思い込んでいるケースの多くは、別の選択肢を知らないだけだということも、同じくらい正直に言いたい。

まず、「0円物件マッチング」の仕組みと注意点を整理しておきましょう。

0円物件マッチング(アキソル等)の仕組みと注意点

近年、「0円物件」や「空き家マッチング」をうたうサービスが増えています。代表的なのがアキソルや、各地域の空き家バンクの無償譲渡コーナーなどです。

これらのサービスの仕組みは、大まかに言うとこういうものです。

🏠 0円物件マッチングの基本的な流れ

  1. 所有者が「物件情報」を登録(無償譲渡前提)
  2. サービス上に物件情報が掲載される
  3. 興味を持った引き受け希望者が問い合わせ
  4. 所有者と希望者が直接交渉・契約
  5. 所有権の移転登記(売買ではなく贈与の形が多い)

「無料で引き取ってもらえる」というのが最大のメリットに見えますが、知っておかないと痛い目を見る注意点がいくつかあります。

⚠️ 0円物件マッチングを使う前の注意点

  • 登記費用・仲介費用は自己負担になることが多い
    「無料で手放せる」と思っていたのに、所有権移転の登記費用(数万〜十数万円)が発生することがある。
  • 贈与税の問題が出ることがある
    無償譲渡でも、受け取った側に贈与税が発生する場合がある。特に評価額が高い物件は要注意。
  • 引き受け手がなかなか見つからない
    「タダでもいらない」物件は存在する。立地・状態によっては、0円でも問い合わせが来ないことも。
  • 家財・残置物の処分は自分でやる必要がある
    建物内の荷物の処分は、原則として所有者側の責任。不用品回収の費用が別途かかることも。

「無料で手放せる」は、完全にゼロコストではないことが多い。それを知らずに進めると、「こんなはずじゃなかった」となりやすい。

再建築不可やボロボロの家でも、実はテナント需要がある?

ここが、私がいちばん伝えたいところです。

「再建築不可だから、売れない」「ボロボロだから、誰も使えない」──この前提、ちょっと待ってほしいんです。

売買市場での価値と、賃貸・活用市場での価値は、まったく別物です。

不動産の売買では、「建て替えができるか」「担保評価が出るか」「住宅ローンが使えるか」という条件が重要になります。再建築不可の物件は、この条件を満たしにくいため、売買市場では価値が大幅に下がる。

でも、賃貸・テナント活用の市場では、その制約がほとんど関係ない場合があります。

飲食店を出したい人は「この建物で開業できるか」を見ています。ローンも担保評価も関係ない。「広さ・立地・雰囲気・賃料」で判断する。

アトリエやスタジオを探しているクリエイターは、むしろ「古い・個性がある・ちょっとクセがある」物件を探しています。ピカピカのマンションより、年季が入った空間に価値を感じる人がいる。

💡 売買で「ゼロ評価」でも、テナント需要があるケース
再建築不可・旗竿地・接道問題あり・築50年以上・雨漏りあり……こうした条件が重なる物件でも、「現状のまま使いたい」という事業者・個人が存在します。特に飲食・美容・工房・ギャラリー・音楽スタジオなど、内装工事を自前でやる意欲のある借り手には、「安く借りられる古い物件」の需要があります。

これは抽象論じゃなくて、実際に起きていることです。次の章で、具体的な事例を話します。

【実例】売れなかった実家が「焼き鳥店」としてよみがえるまで

これは、私が実際に関わった話です。

場所は京都市内・高山寺エリア。築60年を超える木造の戸建て。所有者は関東在住の方で、ご両親が亡くなったあと、誰も住まないまま数年が経過していました。

価格を下げても売れなかった高山寺戸建の苦悩

最初に相談を受けたとき、すでにその物件は一度、地元の不動産会社を通じて売りに出されていました。

状況はこうでした。

📋 高山寺・戸建ての状況(相談当初)
築年数 築60年超(旧耐震基準)
構造・規模 木造2階建て・延床約60㎡
問題点 再建築不可・接道幅不足・雨漏り歴あり
売り出し価格の推移 580万 → 480万 → 380万 → 280万円
→ それでも内覧すら来ない状態が続く
所有者の状況 関東在住・京都への往来が負担・毎年の管理費に疲弊

「再建築不可」というのは、今ある建物を取り壊したら、同じ場所に新しい建物を建てられないという制約です。住宅ローンも通りにくく、売買市場では「買いたい」という人が極端に少なくなる。

価格を280万円まで下げても動かない。内覧すら来ない。所有者の方は「もうゼロでもいい。タダでもいいから手放したい」という気持ちになっていた。

気持ちは、痛いほどわかりました。

でも私は、この物件を「売る」という方向では見ていなかった。

akimiiで届いた「テナント活用」という驚きの提案

「売買ではなく、賃貸・テナント活用として出してみましょう」

所有者の方にそう伝えて、akimiiに物件情報を掲載しました。売却価格ではなく、「テナントとして現状貸しできます」という形で。

写真は、外観・玄関・1階と2階の主要な部屋・水回り。状態が良くないことは隠さず、そのまま載せました。「雨漏り歴あり」「再建築不可」という情報も正直に開示した。

掲載から数週間後、一通のメッセージが届きました。

「はじめまして。飲食店(焼き鳥・炭火焼き)の開業を検討しています。再建築不可であること、状態が良くないことは承知の上です。内装工事はすべてこちらで行いますので、現状のままお借りできますか?賃料と契約条件についてご相談させてください。」

所有者の方に報告したとき、最初は「え、ほんとに?」という反応でした。

「再建築不可でも、焼き鳥屋さんが使いたいって言うんですか?」

そうなんです。飲食店として開業したい人は、「建て替えができるか」より「ここで料理ができるか」「お客さんが来やすいか」「雰囲気がいいか」を見ています。古い木造の建物の「いい感じの古さ」は、飲食店にとっては資産になることがある。

その後、内覧・条件交渉を経て、賃貸借契約が成立しました。内装工事はすべて借り手側が実施。改修費用はゼロ。

毎月の賃料が入るようになり、固定資産税を払ってもプラスになる。管理のために関東から通う必要もなくなった。

所有者の方から後日こんな言葉をいただきました。

「タダで差し上げようと思っていた家から、毎月お金が入ってくるようになるなんて思っていませんでした。もっと早く相談すればよかった。」

この言葉が、ずっと頭に残っています。

なぜ「売れない家」が「借りたい家」になるのか

少し補足します。

売買と賃貸では、「使う人」のプロファイルがまったく違います。

🏦 売買で物件を見る人の視点

  • 住宅ローンが組めるか
  • 担保として評価されるか
  • 将来、売却できるか
  • 建て替えや増改築ができるか

🍳 テナントとして借りたい人の視点

  • 開業したい用途に使えるか
  • 賃料が適正か
  • 立地・雰囲気はどうか
  • 改装はどこまでできるか

再建築不可・ボロボロ・旧耐震──これらは売買の視点では「マイナス」です。でも、テナントの視点では「安く借りられる、味のある空間」に変わることがある。

市場は一つじゃない。売買市場で評価されなくても、別の市場では価値が出ることがある。それが、この仕事をしていていちばん面白いところだと、私は思っています。

手放す以外の選択肢を無料で見つける方法

「でも、うちの家は高山寺の事例みたいにうまくいくかわからない」

そう思う方も多いと思います。そのとおりで、すべての物件が同じようにうまくいくわけではありません。

ただ、「試してみないと、わからない」のも事実です。

「売れない」「貸せない」と思っていても、市場に出してみたら動いた、という例はたくさんある。逆に言えば、出さないことには、可能性はゼロのままです。

写真を載せるだけで、あなたの空き家の価値が見つかるかも

akimiiへの登録は、写真を数枚用意するだけで始められます。

難しい書類も、複雑な手続きも、費用も、いりません。

📸 akimiiへの登録ステップ(3分でできます)

  1. スマホで建物の写真を撮る(外観・玄関・主要な部屋・水回り)
  2. エリア(◯◯区)と建物の状態をざっくり入力
  3. 掲載する(匿名のまま、住所の公開は不要)
  4. 宅建士・事業者からの提案を待つ

提案が届いたら、「これは面白いな」と思ったものだけ返信すればいい。気に入らなければスルーしていい。何かを決める必要は、まったくありません。

「まず提案を見てみる」という段階の話です。

実際にどんな提案が届くのか

参考までに、akimiiに登録した物件に届いた提案の例を挙げます。

📬 実際に届いた提案の種類(一例)

🍗 飲食店・飲食業の開業希望者から

「焼き鳥・居酒屋・カフェ・ラーメン店として使いたい。内装工事は自分たちで行う。現状貸しでOK。」

🎨 クリエイター・アーティストから

「アトリエ・工房・ギャラリーとして使いたい。古い建物の雰囲気を活かしたい。」

💆 サロン・ビューティー系から

「ヘアサロン・エステ・ネイルサロンとして使いたい。小規模な空間が希望。」

🏨 宿泊・体験事業者から

「町家の宿・ゲストハウス・体験型施設として活用したい。外国人旅行者向けの需要がある。」

「こんな用途があるのか」という提案が届くことも少なくありません。オーナーさん自身が思いつかなかった使い方を、外からの目が見つけてくれることがある。

「0円で差し上げます」の前に、まず1回試してほしいこと

最後に、シンプルにまとめます。

「0円で手放したい」という気持ちになったとき、その前に一度だけ、試してほしいことがあります。

✅ 「0円で手放す」前にやること

  • ☑ スマホで建物の写真を10枚撮る(外観・各部屋・水回り)
  • ☑ akimiiに無料登録して「テナント活用」の可能性を出してみる
  • ☑ 届いた提案を見て、「面白そう」と思ったものだけ返信する

これだけです。費用はゼロ。時間は30分あれば十分。

もし提案がまったく来なかったら、そのとき0円物件マッチングや解体を考えればいい。でも、出してみる前に「どうせ誰も使わない」と決めてしまうのは、もったいないです。

一級建築士として、宅建士として、ずっと現場で「使われなくなった場所」と向き合ってきた立場から言うと、「価値がない」と思われていた空間が、誰かの夢の場所になる瞬間を、私は何度も見てきました。

あなたの家にも、そういう可能性があるかもしれへん。出してみるまでは、わかりません。

まとめ:「手放す」より先に「出してみる」を試してほしい

今日話したことを、ざっくり整理します。

🔖 この記事のまとめ

  • 0円物件マッチングは有効な手段だが、登記費用・贈与税・残置物の問題に注意が必要
  • 売買で「価値ゼロ」と言われた物件でも、テナント活用の市場では需要があることがある
  • 再建築不可・ボロボロ・旧耐震でも、「借りたい」という事業者は存在する
  • 高山寺の実例:売れなかった戸建てが焼き鳥店として収益物件になった
  • akimiiに写真を載せるだけで、思いがけない提案が届くことがある
  • 「0円で手放す」の前に、一度「出してみる」を試してほしい

「どうせ誰も使わない」と思っていた家が、誰かの「やりたいこと」の舞台になる。

そういうことが、京都の路地の中で静かに起きています。

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