はじめての空き家マッチング講座 京都の空き家事情と制度解説

京都で空き家に困ったら?行政・NPO・専門家の「無料相談窓口」を目的別に比較

2026年4月6日

先日、息子のサッカーの試合を見に行く途中、ふと通りかかった住宅街で足が止まりました。

玄関先の植木が完全に枯れて、郵便受けが溢れかえっている一軒家。ガラスの向こうは真っ暗で、誰かの気配がぜんぜんない。「これ、相当長い間、誰も来てへんな」って、すぐにわかってしまった。

こういう家を持っているオーナーさんが、今いちばん困っているのって、実は「どこに相談すればいいかわからない」ことなんじゃないかと思っています。

「不動産会社に行ったら、すぐ売れって言われそう」「市役所に行ったら、書類ばかりで話が進まなそう」「NPOって、なんか怪しくないかな」……。そういう不安が重なって、結局、誰にも相談できないまま時間だけが過ぎていく。

でも、相談窓口にも「得意なこと・苦手なこと」があって、悩みの内容によって行き先が変わってきます。

今日は、京都で空き家に困ったときに使える相談窓口を、目的別に整理してみようと思います。「どこに相談すればいいか」を選ぶヒントになれば嬉しいです。

📋 この記事でわかること

  • 京都の空き家相談窓口の種類と、それぞれの得意分野
  • 「相続・家財整理から始めたい」場合に向く窓口
  • 「売却・賃貸・活用アイデアが欲しい」場合に向く窓口
  • 相談前に準備しておくと話がスムーズになる3つのこと
  • まだ方向性が決まっていない人が最初にすべき一手

空き家の悩み別・おすすめの相談窓口

まず、大前提として伝えたいことがあります。

「空き家の相談窓口」といっても、相談内容によって、ベストな窓口はまったく違います。

相続の手続きについて聞きたいなら、法律の専門家(司法書士・弁護士)や行政の相談窓口が向いています。でも「こういう活用ができるかも」という提案がほしいなら、民間のマッチングサービスやNPOのほうが動いてくれやすい。

「なんでもOK」な万能窓口は、残念ながらほとんどありません。だからこそ、「今、自分が一番困っていることは何か?」を整理してから相談先を選ぶのが大事です。

ざっくり分けると、空き家の悩みには次の2つのフェーズがあります。

🔴 フェーズ①:整理・手続き系の悩み

  • 相続が終わっていない
  • 名義が複数人に分かれている
  • 家の中に家具・荷物が残っている
  • 解体すべきか判断できない

🟢 フェーズ②:活用・収益化系の悩み

  • 売るか貸すか迷っている
  • どう活用できるか知りたい
  • テナントを募集したい
  • リノベーション後に運用したい

フェーズ①と②は、必ずしも順番通りではありません。ただ、名義の問題が残ったまま売買や賃貸の話を進めようとしても、途中で必ず詰まります。だから「自分は今どっちの段階か」は、最初に把握しておくほうがいい。

相続トラブルや家財整理から始めたい場合:NPO・士業・行政の活用

「まだ相続が終わっていない」「兄弟間で意見が割れている」「荷物が山積みで手がつけられない」、そういう段階の方には、まず次の窓口を検討してほしいです。

① 京都市の相談窓口(行政)

京都市では、空き家に関する相談を受け付ける窓口を複数設けています。

🏢 京都市の主な相談窓口

  • 京都市住宅政策課:空き家全般の相談。補助金制度の案内も。
  • 京都市空き家相談窓口(各区役所):地域の担当者が相談を受け、専門家につないでくれることも。
  • 京都市不動産無料相談会:宅建協会と連携し、定期的に無料相談会を開催。

行政窓口のメリットは、補助金・税の優遇制度とセットで案内してもらえること。特に「町家の改修補助」や「解体補助」など、使える制度は京都市に多数あるので、知らないままにしておくのはもったいない。

ただ、平日の窓口のみ・予約が必要・対応がゆっくりという制約もあります。「急いではいないが、まず制度を把握したい」という方に向いています。

② NPO・任意団体の活用

京都には、空き家や地域再生に取り組むNPOがいくつかあります。

NPOの強みは、「行政ではできない、人と人のつながりを作ってくれる」ところです。たとえば、「荷物の整理を手伝うボランティアを探す」「地域の活用事例を一緒に見に行く」「オーナーの気持ちに寄り添いながら一緒に考える」──そういった、柔らかいサポートが得意です。

💡 NPOへの相談が向いているケース
相続や手続きよりも先に「気持ちの整理がついていない」「実家を手放すことへの後ろ向きな気持ちがある」という方。NPOは営利目的ではないため、焦らず話を聞いてくれることが多いです。

③ 司法書士・弁護士への相談(相続・名義問題)

相続登記(名義変更)が済んでいない場合は、不動産会社に相談しても、法律面で動けないことがほとんどです。

2024年4月から相続登記が義務化され、知らずに放置していると過料が発生するリスクも出てきました。まだ名義変更が終わっていない方は、早めに動くことをおすすめします。

⚠️ 相続登記の義務化(2024年4月〜)

相続から3年以内に相続登記をしない場合、10万円以下の過料の対象になる可能性があります。すでに相続が発生している方は特に注意が必要です。

司法書士への相談は「高そう」というイメージがあるかもしれませんが、初回相談は無料の事務所が多いです。京都司法書士会などが相談会を開催しているので、まずは問い合わせてみてください。

売却・賃貸・活用方法のアイデアが欲しい場合:民間サービスの活用

「相続は済んでいる」「名義も整理できた」「でも、どうしたらいいかわからない」──そういう段階の方が次に向かうべき相談先は、民間の専門家やマッチングサービスです。

① 不動産会社への相談

売却や賃貸を検討しているなら、まず地元の不動産会社に相談するのがスタンダードな方法です。

ただし、不動産会社によって得意分野はかなり違います。新築マンションが専門の会社に古い町家の相談をしても、あまりいい提案は出てきません。「京都の古い物件」「空き家・古民家の活用」に実績のある会社かどうかを確認してから相談に行くほうがいい。

✅ 不動産会社を選ぶ3つのチェックポイント

  • ☑ 京都市内、特に該当エリアでの実績があるか
  • ☑ 空き家・古民家・町家の取り扱い経験があるか
  • ☑ 売却だけでなく、賃貸・活用も提案してくれるか

② akimii(宅建士とつながる空き家マッチング)

「まだ売るか貸すか決めていない」「どんな活用ができるか知りたい」という段階では、akimiiという選択肢が向いているかもしれません。

akimiiは、空き家のオーナーと宅建士・活用提案者をつなぐ民間のマッチングサービスです。

一番の特徴は、写真を数枚アップロードするだけで、宅建士や事業者から「こういう使い方はどうですか?」という具体的な提案が届くこと。

「カフェに改装したいです」「シェアキッチンとして使えますか?」「古民家宿として活用したいです」──そういう、売却価格とは違う視点の提案が届くことで、「そんな選択肢もあるんや」という発見になる。

名前や住所を公開せずに始められるので、「まだ迷っている段階」でも安心して試せます。

📸 akimiiへの登録ステップ(ざっくり3分でできます)

  1. 写真を数枚用意する(スマホ撮影でOK)
  2. エリア(◯◯区)と建物の大まかな状態を入力
  3. 提案が届くのを待つ(匿名のまま)

相談する前に準備しておきたい3つのポイント

どの窓口に相談するにしても、事前に少し整理しておくと、話がスムーズに進みます。私がオーナーさんから相談を受けるとき、最初に確認することが大体3つあります。

ポイント① 名義人(相続登記)の確認

「誰の名義になっているか」、まずここだけは確認しておいてほしいです。

不動産の名義が亡くなった方のままになっている場合、売買も賃貸も、法律的には進められません。「相談には来てくれたけど、名義の問題があって何もできなかった」というケースが、正直けっこう多いんです。

📝 確認しておきたい3点

  • ☑ 登記簿謄本(法務局またはオンラインで取得できます)に誰の名前があるか
  • ☑ 相続が発生している場合、遺産分割協議は終わっているか
  • ☑ 名義が複数人(兄弟共有など)になっていないか

登記簿謄本は、法務局の窓口か「登記ねっと」というオンラインサービスで取得できます。費用は数百円です。難しくないので、まずここだけ確認しておいてください。

ポイント② 写真や間取りなど、建物の現状把握

相談に行くとき、できれば建物の写真を数枚撮っておくと話がかなり早くなります。

外観・玄関・主要な部屋・水回り(キッチン・お風呂・トイレ)の写真があれば十分です。スマホ撮影で構いません。

「築何年ですか?」「間取りは?」「リフォーム歴は?」という質問は、どの相談窓口でも必ず出てきます。「わからない」でも問題ないですが、わかる範囲で把握しておくと、より具体的な提案をもらいやすくなります。

📷 最低限あると助かる情報リスト

項目 わかれば理想 なくてもOK
築年数・建築年 (不明なら不明でOK)
間取り・面積 (図面があれば持参を)
外観・内部の写真 (スマホ撮影でOK)
リフォーム歴 (なくても相談可)
固定資産税の納税通知書 (持参すると話が早い)

ポイント③ 「どうしたいか」より「何に困っているか」を整理する

これが一番大事かもしれません。

相談に来る方の中には、「売りたいのか貸したいのかまだわからない」という方がほとんどです。それは当たり前で、最初から方向性が決まっている人のほうが少ない。

でも「どうしたいか決まっていないから相談できない」と思い込んで、動けずにいるのはもったいないです。

「何に困っているか」だけ整理できれば、相談はできます。

「どうしたいか」が決まっていなくても、「困っていること」は言えるはず

  • ✅ 「管理費用がかかり続けていて、それが辛い」
  • ✅ 「このまま放置したら近所に迷惑がかかるかもしれない」
  • ✅ 「相続でもめていて、どこから手をつければいいかわからない」
  • ✅ 「売ろうにも、建物が古すぎて誰も買ってくれる気がしない」

こういう「今の困りごと」を言葉にするだけで、相談は始められます。方向性はそのあとで、一緒に考えていけばいい。

「どうしたいか決まっていない」なら、まずはアイデアを募集してみる

ここまで、相談窓口の種類と準備のことをお話ししてきました。でも最後に、もう少し踏み込んで伝えたいことがあります。空き家の活用で一番もったいないのは、「売るか、解体するか」の2択で考えてしまうことだと思っています。

現場で見てきた中で、売れない、解体費用も払えない、どうしようもないと思っていた物件が、「賃貸として使いたい」という事業者に出会った途端に動き出す、というケースがいくつもありました。

「使ってほしい人」は、案外、近くにいます。ただ、出会うための場所がなかっただけ。

宅建士やプロから届く「活用提案」の具体例

akimiiに空き家を登録すると、宅建士や事業者から直接メッセージが届きます。過去に届いた提案の中から、実際にあったやり取りをいくつかご紹介します。

📬 実際に届いた活用提案の例

例① 「再建築不可の古い戸建て」への提案

「建て替えはできなくても、現状のまま飲食店として使いたいです。内装工事はこちらで行うので、現状貸しでご相談させていただけますか?」

→ オーナーが「誰も使えない」と思っていた家が、焼き鳥店として再生した事例

例② 「大きすぎて持て余している町家」への提案

「1階部分だけ、カフェスペースとして借りることは可能ですか?2・3階はオーナーさんがそのままお住まいでも構いません。区分での相談をお願いしたいです。」

→ 「まるごと貸せない」と思っていた物件が、1階だけ収益化できた事例

例③ 「元ゲストハウス」への提案

「インバウンド需要を見据えた和食店を考えています。もし賃貸で貸していただけるなら、改装費用はこちらが負担します。」

→ 仲介では動かなかった物件が、民間マッチングで活路を見つけた事例

こういう提案が届くとき、オーナーさんの反応はほぼ共通しています。「そんな使い方もあるんや」という、ちょっとした驚きです。

「売るしかない」と思っていたのに、新しい選択肢が出てくる。それがマッチングサービスの一番の価値かもしれへんな、と思っています。

どの相談窓口も、「一回話すだけ」でいい

相談に行くと、「話を聞いてもらったら、断れなくなるんじゃないか」という不安を持っている方がいます。

これ、正直なところを言います。

どの窓口でも、相談しただけで何かを決める必要はありません。

行政窓口に行っても、「まだ考えます」で終われる。NPOに話を聞いてもらっても、その後どうするかはこちらが決める。akimiiで提案が届いても、気に入らなければスルーしていい。

「一回話す」ことで見えてくることが、必ずあります。自分の家の「今の状態」が客観的にわかる、専門家の目線でどう見えているかがわかる、自分が本当はどうしたいかが整理されてくる──そういう効果が、まず一回相談することにはあります。

🔖 相談窓口の使い分けまとめ

悩みの種類 向いている相談先
相続・名義変更が未完了 司法書士・弁護士、行政窓口
補助金・税の制度を知りたい 京都市住宅政策課、各区役所
気持ちの整理、荷物の問題 NPO・任意団体
売却・賃貸の方向性を検討したい 地元の不動産会社
活用アイデアが欲しい・まだ迷っている akimii(無料・匿名でOK)

まとめ:「どこに相談するか」より「まず動くこと」が大事

京都の路地を歩いていると、窓の向こうに時間が止まったような空き家と、すぐ隣に人の息遣いが感じられる家とが、混在していることがあります。「動かせたら、こんな家にもなれるかもしれない」と思う瞬間が、この仕事をしていると何度もあります。

相談窓口を選ぶことは、手段です。大事なのは、「とにかく誰かに話してみる」という最初の一歩です。どこに行けばいいか迷っているなら、まずakimiiで写真を一枚アップするだけでも、動き始めることができます。

あなたの空き家が、誰かの「やりたいこと」の場所になる可能性は、思っているより高いかもしれへんな、と私は思っています。

🔖 この記事のまとめ

  • 空き家の悩みには「整理・手続き系」と「活用・収益化系」の2フェーズがある
  • フェーズ①は行政・司法書士・NPOが向いている
  • フェーズ②は不動産会社・akimiiが向いている
  • 相談前に「登記の確認」「写真の準備」「困りごとの整理」をしておくと話が早い
  • どこに相談しても、その場で決める必要はない
  • 「まず動く」ことで、思いがけない選択肢が見えてくることがある

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